弁護士 荒井 剛
2020.03.26

釧路弁護士会会長を終えて

この3月末で釧路弁護士会の会長を終えることになります。
釧路弁護士会の会長は、毎年、選挙によって選任されます。任期は1年間なのですが、いろいろな兼ね合いで一昨年、昨年と続けて選挙によって選任され、結局、3年間、会長を務めることになりました。なんとか3年間務めることができたのも優秀な副会長や釧路弁護士会事務局をはじめ、釧路弁護士会の会員の皆様、また、裁判所、検察庁、法テラスなど関係機関などに支えていただいたからだと思います。あらためて感謝申し上げます。

ちょうど3年前の3月29日、「釧路弁護士会会長就任!」というタイトルのコラムを書きました(http://www.ak-lawfirm.com/column/1043)。あれから3年が経過しました。こうして振り返るとあっという間です。当たり前ですが、この間、自分も3つ歳を重ねたわけですが、自分の子どもも同じく3つ歳を重ねたわけです。子どもにとっての3年は大人の3年とは全然違います。フェイスブックを見てみると3年前に投稿した自分の投稿というのが表示されたりします。そのときに投稿された写真をみると自分はほとんど変わっていないのですが子どもがずいぶん大きくなったなと実感します。

会長の間、ずいぶんと家族に迷惑をかけたなと思います。とにかく会長ということで釧路を離れる機会が多く、年間、5分の1から4分の1近く、釧路を離れていたという印象です。そのため子どもの野球の試合、アイスホッケーの試合に応援に行けず、また、キャッチボールの相手になってあげられず寂しい思いをさせてしまったかなと思います。なぜ自分だけが犠牲を払わないといけないのかと思うことがありましたが、誰かが引き受けないといけない以上、やむを得ないのかもしれません。4月以降はもう少し子の成長を間近で見守りたいと考えています。

また、自分が事務所を空けることで私の事務所のみんなや顧問先・依頼者にも迷惑をかけたなと思います。顧問先からの問い合わせなども私が不在にしているために代わりに対応してもらったり、あるいは事件の関係者からの問い合わせがあっても私が出張で不在のためすぐに回答できないという返答を事務員にさせてしまったりしていました。4月以降は、釧路にいる時間が増えますので、打ち合わせを入れやすくなると思いますし、法律相談に入る回数を増やしていきたいなと思っております。

家族、そして、事務所のみなさんあらためて感謝申し上げます。
ありがとうございます!

さて、釧路弁護士会の会長として、毎月、東京で行われる日弁連の理事会(ほぼ丸二日)に出席し、日弁連の意思決定に関わる議論に参加してまいりましたが、弁護士会としての重要性を再認識しました。

弁護士は、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」(弁護士法1条1項)とされています。弁護士は、一人で法律事務所を持つことができますし、一人で国や大企業を相手に訴訟を起こすことはできますが、社会の大きな不正義を正すため、たとえば人権侵害のおそれがあるような社会の動きに対しては、弁護士会という組織で対応し、是正を求めていく必要があります。

最近でいえば少年法適用年齢引き下げ問題が挙げられます。この問題自体の詳細は、以前のコラムを参照してください(http://www.ak-lawfirm.com/column/1163)。

少年法適用年齢引き下げ問題については、全国に52あるすべての弁護士会が年齢引下げについて反対声明を出しています。各弁護士会の執行部や子どもの権利委員会の委員らが、地元選出の国会議員と面談をし、問題点を繰り返し説明したり、あるいは市民向けシンポを全国で開催したりすることで市民に対しても少年法改正の問題点を理解してもらおうと運動して参りました。当会でも昨年7月に釧路市で開催された北海道弁護士会連合会のシンポのテーマに取り上げ、多くの一般市民にも参加いただきました。日弁連及び全国の各弁護士会の動きに協調するかのように、全司法労働組合、公益社団法人日本精神神経学会や日本児童青年精神医学会らも次々に反対声明を出してくれました。徐々に問題意識を共有する国会議員も増えてきました。その結果、もともと提出予定だったという今年の1月の通常国会への法案提出が見送られました。

もちろん、今後、あらためて法案提出される可能性はありますが、全国の弁護士会の運動がきっかけで今回の法案提出が見送られたといえるのではないかと思いますし、地方の一弁護士会の会長としても嬉しく思います。

さて、この3年間、本当に、多くの全国の弁護士会の会長さんと知り合うことができました。もちろん、釧路以外の道内3会(旭川、札幌、函館)の会長さんとも交流を持つことができましたし、特に、小規模会の会長さんと親しくなれたことは私にとって大きな財産となりました。弁護士の会員数が200名以下の弁護士会を小規模会と呼んでいますが全国52の単位会中、28会が小規模会になります。東京、大阪のようなマンモス会に多くの弁護士が集中していますが、単位会の数を基準にすれば、小規模会が過半数を超えています。私は3年連続やりましたが、この間、一緒に2年連続会長を務めた香川の滝口会長(2017、2018)、佐賀の奥田会長(2018、2019)、長崎の森永会長(2018、2019)、青森の岩谷会長(2017、2018)、岐阜の鈴木会長(2018、2019)のほか、災害対策の関係で釧路まで来ていただき講演していただいた徳島の堀井会長(2018)、また、昨年度の金沢視察の際にお世話になった金沢の小堀会長(2018)、今年度の佐賀視察の際、東日本大震災のときの経験をお話していただいた岩手の吉江会長(2019)など、名前を挙げたらきりがありません。次年度、今年に引き続き二年連続会長を務める島根の鳥居会長、応援しています!