弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 久保田 庸央
2016.02.19

差押範囲の変更

お金を払ってもらう裁判に勝っても相手がお金を払ってくれない…。

そんなときは、相手の財産を差し押さえたりする強制執行という方法をとることになります。

ただし、相手方が個人の場合、裁判で負けてもお金を払ってくれないのなら、普通はめぼしい財産はありません。強制執行といっても、相手が仕事をしている場合に、その給料を差し押さえるという方法くらいしかないというのが現実です。

給料を差し押さえる場合、原則として、手取りの4分の1までしか差押ができません。手取りが月額44万円を超えているような場合には、44万円を超える部分は全て差押できますが、特に、釧路地域ではそのような場合は極めて稀であるといわざるを得ません。

この差押の範囲…。

実は、差押の範囲の変更という申立があって、差し押さえられた人の申立によって、手取りの4分の1から、さらに変更される場合があります。

申立によって、差押の範囲が手取りの8分の1とかに変更されることがあるということです。

個人的には、このような変更はよほどのことがない限り認めるべきではないと思っています。例えば、取締役の役員報酬であれば、全額の差押が可能で、手取りの4分の1しか差押ができないというだけで、既に保護されているわけです。判決で命じられたお金を払っていないこと自体褒められたことではない上に、さらに差押の範囲を下げるというのはいかがなものかということです。

実際の申立においても、差押範囲の変更の申立はあまり認められていないように思われます。

では、実際に、給料を差し押さえられて、生活に困窮してしまったらどうすればよいのか。

まずは、給料を差し押さえられるような事態に陥らないことです。裁判で負けることがあっても、通常は、裁判所で和解の機会があり、支払能力を加味して分割での和解を成立させるように努力すべきです。和解を蹴っておいて、判決が下され、給料の差押の段階で差押範囲の変更の申立がなされたような場合は、権利者側から徹底抗戦されることは避けられません。私も、権利者側で訴訟活動をしたのであれば、裁判所での和解による紛争解決機能を損なわないためにも、完膚なきまでに叩きのめすつもりで対応にあたります。

そのような事前の対策がとれる時期が過ぎてしまっている場合は、差押範囲の変更も検討してもよいですが、それは所詮は対症療法です。本来支払わなければならないお金はあまり減っていかないことになるわけで、その場しのぎで、抜本的解決にはなりません。破産等の抜本的解決を模索した方がよい場合の方が多いと思います。

いずれにせよ、そのような事態に陥らないために、先を見通して判断することが必要になるものと思います。特に、養育費等の場合は、差押の範囲が4分の1ではなく、2分の1となっています。差し押さえられてからでは、後の祭りで、しかも養育費等の場合は破産しても消えないので、どうしようもない事態も考えられます。差し押さえられた方はきついでしょうが、差し押さえる方も迷惑するので、やはり互いに先を見通して行動することが大事だと思います。