弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 久保田 庸央
2015.11.19

不倫相手はどのくらい悪いのか

不倫相手はどのくらい悪いのか


 配偶者の不倫相手に対して慰謝料を請求する事案というのは結構目にします。
 その請求は原則として認められますので、不倫相手が悪いことは確かです。

 配偶者が不倫をして、それが原因で離婚するようなことにでもなれば、他方配偶者に慰謝料を払わなければならないというのも当然のことです。
 不倫した夫や妻も悪いです。

 では、不倫された妻や夫は。
 普通に考えて被害者です。
 夫を監督しなかった妻が悪いなどという代理資格を持った方の信じられない内容の内容証明郵便を拝見したことはありますが、そんなはずはありません。

 そうすると、悪いのは、不倫した夫や妻とその不倫相手。
 因みに、不倫相手が法的責任を負うのは、貞操義務に違反した夫や妻との共同不法行為という理由です。共同不法行為とは、共犯のイメージですが、不倫の問題では直接他方配偶者を裏切る夫や妻が主犯で、夫や妻を通じて間接的にダメージを与える不倫相手は共犯者の位置付ということになります。

 1番悪いのは、不倫した夫や妻。
 不倫相手は2番目です。

 この手の案件でご相談いただくと、不倫相手に対する憎しみの方が大きいということはよくあります。
 しかしながら、あくまでも一番悪いのは、不倫した夫や妻です。

 夫又は妻が不倫した際に、不倫相手のみを相手に裁判が起こされている場合がありますが、誰が一番悪いのかを考えるとおかしなことということになります。

 中には、離婚もしていないのに、不倫相手のみに裁判が起こされている場合もあります。こんな場合、夫婦がグルになって、不倫相手から金をむしり取ろうとしているのではないかと疑ってしまいます。

 ところで、共同不法行為の場合の民事上の責任ですが、不倫した夫や妻と不倫相手は、慰謝料の連帯責任を負うことになります。

 連帯責任というのは、例えば、200万円の連帯責任を負う場合、請求する側は、最終的に200万円全額が支払われるまでは、どちらに対しても200万円の請求ができるというものです。例えば、不倫相手が不倫された妻に150万円を支払ったとしても、まだ、全額が支払われたわけではないので、不倫された妻は不倫相手にさらに50万円払えと言えるわけです。不倫相手に、もう4分の3も払ったのだから、後は不倫した夫に言ってくれなどという言い訳はさせませんということです。
被害者側とすれば、全額請求できる相手が複数いることになるので、相手にお金がなくて取れないという事態が少なくなるという意味で非常に有利になっています。

 連帯責任のことを考えると、誰が一番悪いのかということのほかに、誰からなら取れるのかということも考えなければなりませんので、主として不倫相手に責任追及するということも出てくることにはなります。
 ただし、その場合でも、不倫した夫や妻と不倫相手を同時に訴えても、裁判所に納める印紙代は、不倫相手のみを訴えた場合と変わらないので、特別な事情がない限りは、不倫相手のみを訴えるということにはならないはずです。
 にもかかわらず、不倫相手のみが訴えられている場合、誰が一番悪いのかという視点は、多くの場合抜け落ちていると思われ、現実を度外視した主張や意見が展開されることが多いように思います。これに限らず、何でもそうですが、事件の入り口に大きな見立て違いがあると、原告側は当然のこととして、付き合わされる側もロクなことにはならないので、そういうことがないようにしていただきたいと思います。