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弁護士 久保田 庸央
2013.03.01

法科大学院卒業を司法試験の受験資格にするのはもうやめたらどうか

予備試験という極めて狭き門の例外はあるものの、現在、司法試験を受験するためには、法科大学院を卒業する必要があります。
かつては、そのような制限はなく、誰でも受験することができ、大学在学中に合格することも可能でした。

しかし、現在は、法学部卒等の既習者コースでも2年間、未習者コースでは3年間、法科大学院に通って卒業して初めて司法試験の受験資格が与えられるのです。
そして、法科大学院の学費は幅はあるものの、非常に高額で、2年~3年という時間というコストのほか、金銭的なコストも非常に高く、法曹志望者に重くのしかかってきます。



ところで、法科大学院を卒業すると何を得られるのでしょうか。
形式的には、司法試験の受験資格です。

しかも、ここで得られる司法試験の受験資格は、卒業後5年以内に3回という受験資格です。司法試験に3回失敗すれば、もう司法試験は受けられないのです。そして、法科大学院を卒業して、3回以内に司法試験に合格するのは、全卒業生の半数以下。
こんな限られた受験資格のために、何年も拘束し、多額の学費を払わせていいのでしょうか。

当初の構想のように、司法試験の合格率が7~8割というのであれば、法科大学院卒業≒法曹資格になりますから、そのような負担も正当化されるかもしれません。
ただ、最終的に半数も受からない司法試験を受けるだけの資格を得るために、時間を拘束し、何百万もの学費を払わせるのはいかがなものかと思います。



しかも、現状は、未曾有の弁護士の就職難。
2000人余りの司法試験合格者のうち、裁判官や検察官になれるのはせいぜい1割程度で、大半は弁護士になることになりますが、司法試験に受かっても、その弁護士になるのが、大変なのです。

平成24年12月の一括登録日(司法修習中に弁護士登録手続を行った者がまとめて弁護士登録される日)時点で、546名が未登録であるという現実が示すように、弁護士の就職状況は極めて厳しいものがあります。弁護士登録していたとしても、イソベン(勤務弁護士のこと)の待遇は悪化しており、苦肉の策としてのソクドク(いきなり事務所を構えること)、ノキベン(事務所にはおいてもらえるが給料は出ない)が増えており、弁護士になったからいいという状態でもありません。



上記のように、法科大学院を卒業しても、半数以下しか合格できない司法試験の年限付きの受験資格しか得られず、たとえうまく司法試験に合格することができたとしても、就職も難しい…。
そんなものを得るために、制度として、何年も時間を拘束して、多額の学費の負担を課すというのは、法曹を志望する個人にあまりにも負担をかけるもので、不当極まりないと思います。

理念だ、プロセスによる法曹養成だと言ったところで、法曹志望の個人に課される莫大なコストと、司法試験合格の割合という数字、新人ないし若手弁護士の就職状況、経済状況からすれば、法科大学院が資格商法だとか詐欺とか揶揄されることがあるのも仕方のないことだと思います。



このように、司法試験の受験に法科大学院修了を条件としていることは、法曹を志望する一個人に不合理に過大な負担を強いていることになり、このような現状は、直ちに改善すべきだと思います。
そのためには、司法試験の受験資格から法科大学院修了を除外するほかないのではないでしょうか。



どうしても法科大学院を出るべきだというのであれば、司法試験合格後、司法修習前に1年間くらい法科大学院に行くにようでもすればいいのではないですかね。現在、法科大学院には多額の補助金が出されていますが、卒業生のうち法曹になる人は半数にも満たないというのですから、そのような補助金は税金の無駄遣いであり、このような不合理も解消されるのではないでしょうか。