弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 久保田 庸央
2021.12.15

嘘をつくということ

 人は嘘を付く生き物だと思います。
 親からは嘘を付いてはいけませんなんて教わりますが、今のこの時期、大人達が子供達に対して、サンタクロースがプレゼントを持ってやってくるなんて嘘を付きまくっているわけです。

 ところで、人が嘘を付かなければ冤罪なんて発生しないのにと思うことがあります。

 嘘が絶対にないとすれば、被疑者・被告人が自分は犯人ではないと言えば、それは100%信用できるので、直ちに釈放ということです。まぁ、それ以前に逮捕されることもないでしょう。
 でも、人は嘘を付くので、被疑者・被告人が自分は犯人ではないと言っても、直ちに信用されることは普通はありません。取り調べや身柄拘束が続いてしまい、挙句の果てには裁判になって無実の人間に有罪判決が下されてしまうことだってあるのです。

 そこで私が思うことは、自分はやっていないという被疑者・被告人の真摯な主張が中々信じてもらえないのは、本当は犯人なのに自分はやっていないと嘘を付いている人間のせいではないのかと。
 裁判になっても嘘をついているというのであれば、反省はしていないとして、真実に沿って真摯に争っている人の妨害にもなっているのであり、本当に罪深いと思います。
 この際、弁護人の立場を離れて書きますが、裁判で嘘をついているのであれば、刑期を2倍にするなど厳重に処罰すべきであると思います。そうでなければ自分の罪と向き合って反省している被告人が報われないし、裁判になっても安易に嘘を付き続ける人が減らないのではないかと思うのです。

 私の相方が担当した事件ですが、被告人は、そのような事件はやっていないと否認していた刑事事件がありました。一審判決は有罪となったのですが、執行猶予がつきました。
 私は、この判決は如何なものかと思っています。
 事件をやっていないと否認していたのに、有罪判決を下したということは、被告人の主張することは嘘だと認定したということです。それ自体は事実認定の問題なのであり得ると思いますが、なぜ最後まで嘘を付き続けたと認定しているのに、執行猶予をつけるのですか。短期間でも実刑判決にすべきです。

 で、この事件。
 執行猶予がついているため、判決をそのまま受け入れても刑務所には行かなくてよいわけですが、控訴しています。
 そして、控訴審においては、新たな証拠請求は全て却下されていながら、すなわち、一審と同じ判断材料にて判決が下されているわけですが、結論は無罪。

 ここで、一審の裁判官は、被告人の言っていることが本当かもしれないと事実認定に自信がなかったのではないかとの疑いが生じます。だから、有罪を前提とすると、最後まで嘘をついて反省していないのに、執行猶予をつけた……。被告人の言う事は本当かもしれないが無罪判決は書きたくない、有罪にしても執行猶予をつければ控訴はしないで確定してくれるだろうとの思惑があったのではないかと…。
 裁判官は、もし、被告人が犯人なのかとか、被告人が事件を起こしたのかという事実の認定に迷いがあるのであれば、無罪判決を下すべきです。「疑わしきは被告人の利益に」です。そうでなく、有罪にするのであれば、被告人は嘘をついているという判断になるのですから、厳罰に処すべきで、無罪判決は書きたくないが執行猶予にしておけば控訴はしないであろうなどという思惑のもとに中間的な判決がなされるということがあれば、それは冤罪の温床となるもので、絶対に許されるべきではありません。上記の判決はそのような思惑はなかったものと思いたいです。

 現状、人は嘘を付くわけで、冤罪の問題はついて回ります。もし、絶対に嘘を付けない薬のようなものが開発されれば、冤罪はなくなるかもしれません。その「絶対」は、本当に絶対なのかという問題や、そんなもの使ってよいのかという問題もあって、そんなことは実現しないと思いますが…。