弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 久保田 庸央
2018.08.22

強気な見立ては誰のため?

 弁護士に事件を依頼する場合、通常は、その前に法律相談を受けます。
 その際、どのような手続をとるのか、事件の結果の見込み、費用の見込み、解決までの時間の見込み等、色々な事項を検討します。
 検討の結果、総合的に考えて、弁護士費用を負担して、事件処理を依頼することが相談者の利益になるならば、相談者は事件を弁護士に依頼するでしょうし、弁護士も依頼を受けるものと思います。
 
 ところで、弁護士が法律相談をする際、相談者から資料を見せてもらったりしますし、さらに、〇〇のようなものはありませんかと尋ねて資料の追加を求めたりして、結果の見込み等の見立てをできる限り正確に行おうとします。
 しかしながら、医者と違って、血液検査をしたり、レントゲンを撮ったりと客観的な検査はないので、情報はある程度相談者だよりにならざるを得ず、ある程度幅をもった見立てしか立てられないのが実情です。自分が不利だと思うことを一通りお話いただくようにしても、依頼者が重要とは思っておらず弁護士に伝えていなかったところ、相手方からそれを指摘されるということもあり得るところです。他方で、証拠が不十分な事項でも相手が争ってこなければ、その部分は問題になりませんので、想定よりも有利な結果になることもあり得ます。
 このように不確定要素が多いので、当初は多少控え目に事件の筋を見ておかないと依頼者に不測の不利益を与えてしまうことにもなり兼ねません。


 この見立てが強気なとき…。

 相談者の方には、弁護士が頼もしく見えるかもしれません。
 が、それはその時だけです。
 その強気の見立てを前提として、事件を依頼し、結果がその通りになればよいですが、そうではなく、結果が見立てを下回った場合はどうでしょうか。普通、依頼者は不満なはずで、結果として依頼者のためにはなりません。

 そして、実際の手続上は、次のようなことが起こります。
 例えば、裁判がある程度進んだ段階で、裁判所から事件の解決案が示された際、その解決案が妥当な案であるにもかかわらず、強気な見立てをして事件を受任したと思われる側が解決案を蹴ったりします。その後判決となり、解決案を蹴った側の言い分が通らない判決が下され、控訴(不服申立)し、控訴審でも再び解決案が示されたものを蹴り、同様の控訴審判決が下される…。
 裁判所の示す案や判決が妥当なものであったとしても、当初の弁護士の見立てを下回れば、依頼者は自分に不利な案が出された…、自分に不利な判決が下された…、と考えがちで、納得できるわけでもなく、早期の解決を受け入れることができず、手続を重ねていくことになるのです。
 事件の相手方としては非常に迷惑です。裁判所の解決案や判決が妥当なものと思われるのに、いつまでも紛争状態が継続し、新たな手続きまで取られるので、時間に加えてコストも嵩みます。おそらく、裁判所も迷惑していると思います。

 例えば、損害賠償請求事件で、100万円程度が見込まれるときに、200万円はいけるという見立てをして、結果100万円となった場合。
 裁判所から解決案として100万円という案が示された場合、妥当な案のはずですが、200万円はいけると思っている依頼者には不当に低い金額に見えます。ですので、解決案を蹴り、判決に至る…。この時点で時間をロスし、さらに、控訴して、費用が嵩み…、と続くわけです。

 依頼者は、いくら手続を重ねても、当初示された弁護士の強気な見立て通りの結果は得られず、コストと時間ばかりが膨らむわけですから、依頼者にとっても不利益であると言わざるを得ません。
 そして、このような依頼者は弁護士の事件処理結果には不満を持つはずなので、以後、この弁護士に事件を依頼したり、人を紹介したりということはしないはずで、長期的には、強気すぎる見立てをした弁護士にとっても不利益です。

 しかし、短期的に見れば、強気すぎる見立てをした弁護士にも利益になります。
 弁護士が事件を受任する確率は、見立てが、 強気>適切>弱気 だからです。
 適切な見立てをした結果、コストが合わない、ないしは、コストが合わないおそれがあるということで、弁護士を依頼すべきではないという結論になることがありますが、同じ事件でも強気すぎる見立てをした結果、コストが見合うということも十分考えられます。
 また、適切な見立てをした結果、相談者に何とも弱気な弁護士であるとの印象を抱かれ、もっと強気な見立てをする弁護士のところに相談に行くなんてことも考えられます。
 このようなときに、強気すぎる見立てをして、弁護士が事件を受けることは、依頼者のためにはなりませんし、長期的には弁護士のためにはなりませんが、事件の依頼を受ける際に、弁護士費用が発生することから、無理に事件を受ければ、短期的には弁護士の利益になり得るのです。特に、勝訴の見込みの低い事件や、勝訴の見込みは高いが回収の見込みがない事件などは、敗訴リスクや回収リスクが現実化した場合、依頼者は弁護士費用等で事件に関して何もしない場合よりもマイナスになってしまい、依頼者の犠牲のもとに、弁護士が短期的利益を得るという結果が際立ってしまいます。

 強気な見立ては誰のため?  と聞かれれば
 受任弁護士のため、しかも、目先の利益のため  と言わざるを得ないでしょう。