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弁護士 久保田 庸央
2017.09.20

年金保険料を納めるのは損なのか

 年金保険料を納めたとして、きちんと年金が支払われるのだろうか?、年金支給開始年齢の引き上げの問題があり、いったい何歳になったら年金がもらえるのだろうか?、年金の世代間格差の問題はひどい!など、年金制度にはいろいろな疑問がつきまとっています。
 かくいう私も、私たちの世代が年金をもらうころには、支給開始年齢は70歳を超えているだろうと思っています。

 では、年金保険料を納めるのは損なのでしょうか。
 年金保険料を支払った後、年金をもらって、納めた以上にもらえるのは何歳まで生きた場合か、などの試算がなされており、何歳まで生きないと元がとれないから損だとか、そのような議論をよく目にします。とりあえず、平均寿命くらいまで生きれば、元がとれるという試算が多いでしょうか。
 
 それはそうとして、私は、このような問題の立て方自体が誤りであると思っています。
 長生きして、働くことはできないとしたら、その時の生活を安定的に支えるのは年金しかありません。貯蓄では、底が尽きたらそこで終わりです。長生きしたはいいが生活費がありませんというのでは、本当に悲惨です。
 終身で収入を保障するものがなければ、長生きはリスクとなります。

 他方、結果的に長生きせず、納めた年金保険料の元がとれなかった場合、誰か困るのでしょうか。現役世代のときに年金保険料を納めたものの、老後期間が短く、生活費に困ることなく人生を終えたというのであれば、それでいいではないですか。納めた年金の元を取るのが人生の目的である人なんているわけないですし…。

 生命保険をかけていて、死ななかったから損をしたとは言わないと思います。
また、自動車保険に入っていて、事故を起こしていないから損をしたとも言わないと思います。
 火災保険に入っていて、保険料が損だから、早く火事にあいたいなどと思う人は、保険金詐欺師くらいしかいないでしょう。

 なぜ、年金のときだけ、元をとるなどと騒がれるのでしょうか。
 公的年金を払わず、個人の貯蓄で対応しようとして、長生きしたらどうするのでしょうか。
 年金保険料を納めるのは、長生きした場合の安心料という考え方でよろしいかと思います。
上記の生命保険も、保険事故があった場合の安心料ですし、自動車保険も火災保険も、自動車事故や火災事故の場合の安心料です。一応リスクの方向性が各種保険の場合は不幸方向、年金の場合は長寿という幸せ方向であるという違いはありますが、いずれも安心料という括りでいいと思っています。

 私には、世代間格差や、いつ元が取れるかなどを強調する報道は、年金の不払いをあおっているようにしか見えません。