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弁護士 久保田 庸央
2017.05.25

養育費は最強の権利?

養育費なんて約束したって、きちんと払ってもらえない…。

最近も、ちらほら聞きますが、一昔前はよく言われたことではないでしょうか。

では、本当にそんな状態なのでしょうか。

まず、どんな権利の場合もそうですが、約束通りきちんと払われているうちは何の問題もありません。

いざ払われなかったときに、どうなるかというところで違いが出てきます。

払われなかった場合に、強制的に相手から回収するには、強制執行という法的手続をとる必要があります。そして、その前提として、強制執行の手続に必要な債務名義という書類を確保する必要があります。債務名義になるものには、例えば、判決や審判など裁判所の判断を示すもの、和解調書や調停調書等の裁判所を通じて相手と合意したもの、裁判所の関与しないところでは公正証書があります。

相手から約束通りに払われなかった場合に、債務名義を確保して、強制執行をしなければならないというところまでは、どの権利も共通しています。

養育費の場合は、離婚調停の合意の中で養育費を決めて調停調書が作成されていたり、離婚の裁判の判決や和解調書に養育費が含まれていたり、養育費に関して公正証書が作成されたりしている場合(他にもあります。)には、強制執行ができることになります。

養育費で強制執行する場合には、給料を差し押さえるということが多いのですが、給料を差し押さえる場合に、他の権利とは違った効果があります。

一般に、給料は差し押さえられてしまった人の生活もあるため、手取りの4分の1までしか差し押さえることができません。

ところが、養育費で差押をする場合、給料の手取りの2分の1まで差し押さえることができます。

また、かつては、滞納された養育費の分しか差押できませんでしたが、現在は、滞納中に差し押さえれば、将来発生する分も差し押さえることができます。滞納された養育費しか差押できないと、滞納の都度、何度も差押えの手続をとらなければなりませんでしたが、現在は、一度の差押手続で、将来発生する養育費も、相手の勤務する会社から毎月支払を受けることができるという状態になります。

相手方としては、未払いの養育費が溜まってしまって、給料の手取りの2分の1も差し押さえられたのでは生活できないとして、破産するしかないと考えることもあるかもしれません。

しかし、養育費は破産手続をとっても消すことはできません。

このように、養育費は他の権利と比べて、かなり優遇されたものであることが分かります。

現金そのものではなく、請求権に過ぎないので、相手に全く財産がない場合(無職で給料等誰かに請求できる権利すらない状態)や相手が死亡した場合には回収は利きませんが、他の権利と比較すると、最強の権利と言えるのではないでしょうか。

ですので、養育費はどうせ払ってもらえないなどと諦めずに、きちんと決めておくべきものと思います。

他方で、離婚したい一心であった等の事情で信じられない高額の養育費の公正証書が作成されている場合があったりしますが、その場合に、養育費を払う側の対策はないに等しい状況にあります(一応、養育費変更の審判や調停が考えられますが、滞納分の変更は強制的にはできないこと、将来の養育費の変更も事情変更がないと難しいということがあり、うまくいくかは疑問です。)。

請求側にとって最強の権利ということは、支払側にとっては危険な権利というわけです。

もらう側はきちんと決めておくべきですが、払う側は慎重に検討すべきということになります。