弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 久保田 庸央
2017.03.22

法律は最低限の道徳を定めたものである

  私は、たまに依頼者の方や相談者の方に、このようなお話をすることがあります。

 所詮、法律は最低限の道徳を定めたものなので、何でもかんでも、法律や裁判所の出番というわけではない、人々は、そんな低レベルなところで生活しているのではなく、もっと高いレベルで、よりよい生活を送っているのだという意味で、そのようなお話をさせていただいています。

 例えば、交通事故の案件で、事故を起こした相手方が謝罪もしなければ見舞いにも来ないとして、憤る方がいらっしゃいます。

 事故を起こして迷惑をかけているのですから、謝罪をしたり、お見舞いに行ったりというのは、常識であり、そのようなお気持ちも正当なものだと思います。

 しかしながら、迷惑をかけて謝罪しないとか、見舞にも来ないというようなご不満であれば、そこは、法律や裁判所が出張っていく場面ではありません。裁判所も相手に謝罪することを強制したり、見舞に行くことを強制したりはできないわけです。

 裁判所が相手に強制できることは、相手が適切な賠償をしない場合に、賠償金を払わせることということになります。

 裁判所や法律は決して万能ではなく、よりよい生活を送ったり、より快適に過ごすという観点では、あまり役に立たないのです。

 法律の関与してくる場面というのは、最低限犯してはならない規範を乗り越えた場合だけです。上記の交通事故であれば、賠償問題がそれにあたり、謝罪しないとか、見舞をしないというのは、法律が関与する場面ではありません。

 また、法律の関与の仕方にも段階があって、例えば、事故の結果、車が壊れただけということであれば、相手に損害賠償を命じるのみです。いわゆる民事上の問題ということです。

 事故の結果、人が怪我したということであれば、相手に損害賠償を命じるほか、刑事罰を与えるということになります。事故で、人に怪我をさせたりすれば、犯罪になり、刑事上の問題になるのです。

 少し話題を変えて、養育費のお話もさせていただきます。

 養育費は、相場のようなものがありますが、そこでの考え方は、同居していたならば、その子にかかっていたであろう金額を払いなさいというものです。収入によって一定の相場が定められていますが、そのような考え方によるものですから、独立して生計が立てられるような十分な数字には通常はなりません。裁判所は、そのような最低レベルの養育費も払っていない場合には、養育費の支払を強制することになるのです。

 子供が大学に進学する際に、親が学資ローンを組んだりして無理して学費や大学生活の費用を捻出するような場合があります。子供の頑張り等を目の当たりにするなどして、親が子供の支援をしているわけですが、これは法律や裁判所が強制するものではありません。

 養育費の場面でも、大学に進学した場合にどうするのかという問題はありますが、多少の考慮がされる場合はあるものの、十分な金額が強制されるということはありません。

 ここは、やはり、子供と養育費を支払う親との人間関係が物を言う場面であると思われます。子供が親権を持たない親との面会交流を拒否しているというのであれば、親には会いたくはないが、法律上の義務以上の金を出せと要求しているわけですから、そのような要求は人道的にも通るものではありません。他方で、子供との面会交流がうまくいっており、将来の目標まで共有されているというのであれば、法律上の義務としてではなく、十分な支援を受けることもあり得ることでしょう。

 法律は最低限の道徳を定めたものであるということについて、何となくご理解いただいたものと思います。

 おそらく、多くの方々は、法律が介入するような低次元のところでは生活しておらず、法律とは無縁の高いレベルの常識や道徳のもとに生活しているものと思われます。法律すれすれとか、法律に触れさえしなければよいなどという低レベルの発想では生活していないものと思われます。

 何も法律問題が起こらなければ、私どもは商売あがったりですが、上記のように、法律問題の処理はできることも限られていますので、法律や裁判所の出番となってしまうこと自体があまり好ましいことではないということになります。