弁護士 鍛冶 孝亮
2016.11.10

(FPの活用)教育資金を例に

1 11月3日、帯広市で行われた「FPフォーラムin道東」に参加してきました。このイベントは、FP(ファイナンシャル・プランナー)の活動内容を広く知ってもらうために行われているもので、yFP協会道東支部では1年に1回実施し、yyお金に関する講演会や無料相談会が行われます。

  今回は弁護士ではなく、yFPの立場で相談会に参加し、遺産相続についての相談に対応しました。

  今回は、一般の方にFPのことをもっと知っていただくために、教育資金を例に挙げ、FPの活動を紹介していきます。

2 FPについて、日本FP協会のHPでは、以下のとおり紹介されています。

「人生の夢や目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法を「ファイナンシャル・プランニング」といいます。ファイナンシャル・プランニングには、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識が必要になります。これらの知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家が、FP(ファイナンシャル・プランナー)です」

https://www.jafp.or.jp/aim/fptoha/fp/

テレビや新聞で、税金や保険、y投資に関する話題が出たとき、FPが解説していることが多いため、yFPという言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、y実際に相談に乗ってもらった方は少ないのではないでしょうか。

豊かな人生を送るためには、現在や将来のことを踏まえ、お金をどのように使ったり貯めていくのかを計画的に考える必要があると思います。

そんなときに頼りになるのがFPです。

3 ここで教育資金に関わる話をします。

  高校3年生のお子さんがいらっしゃる家庭で、yお子さんが進学することになっている場合、これからの時期、希望する進学先に合格するのかどうかだけでなく、進学に伴って発生する費用が気になっているのではないでしょうか。

推薦受験の場合、早ければ年内には合格通知がありますので、この費用をどのように用意するのか考える必要があります。

教育資金に関わるアドバイスを行うこともFPの活動の1つです。

教育に関する費用でいえば、教育ローンと奨学金の2つが考えられます。

  教育ローンと奨学金の制度の違いを簡単に説明すると以下のとおりとなります。

  ①借主   (教育ローン)保護者

(奨学金)  学生本人

  ②返済時期 (教育ローン)借入した月の翌月(ただし、在学中は利息の支払だけとすることができる場合もある)

        (奨学金)  卒業後

  ③利息   (教育ローン)所定の利息が発生する

        (奨学金)  無利息の奨学金もある

  ④支払方法 (教育ローン)一括で振り込まれる

        (奨学金)  毎月定額で振り込まれる

4 合格が決まった場合、進学先から指定される期限までに、入学金や授業料を支払う必要がありますし、実家から離れる場合には、一人暮らしを始めるために必要な費用(引越費用、敷金や礼金、家具家電の購入費用)が発生します。

  合格が決まってから、どのようにお金を用意するのか考えるとなると、融資の手続に時間がかかり、期限までにお金を用意できないこともあります。

  学校によっては、父母も参加する進学相談会の際にFPを呼んで、教育ローンや奨学金の説明をしてもらうということもしているようです。

  お金に関する事柄ですので、同級生の親に相談することに躊躇するかもしれません。そのようなときに、専門家であるFPに相談したり、講演会に参加してみるのが有益だと思います。

それぞれの家庭の状況に応じて、①預貯金から入学金などは負担し教育ローンは使用しないが、進学後の生活費のために奨学金を利用する、②教育ローンと奨学金を併用する、③返済義務がない奨学金を利用するなどのアドバイスを受けることができると思います。

5 私は弁護士の仕事を始めてからFPの試験を受け、現在AFPの資格を保有しています。

  遺産相続や夫婦の離婚の際には、税金や保険、先ほど紹介した教育資金などお金の話が出てくることが多いです。

  その際、相続税が発生する可能性があるとか、離婚した場合に不要な保険を解約したほうが良いなどのアドバイスを行うこともあります。

  今後もFPとしての知識を蓄え、依頼された方に適切なアドバイスを行っていきたいと考えています。