弁護士 荒井 剛
2013.10.22

冬のタンチョウは美しい!

釧路もめっきり寒くなり本格的な冬がやってきました。

今日、地方出張のため車を走らせていると、大地に群れるタンチョウの集団を見かけました。それ自体、道東に住んでいるとそれほど珍しい光景ではないのですが、さらに今日は、7、8羽のタンチョウの群れが隊を組み、大きく翼を広げ、大空をまっすぐ飛んでいる姿を見かけました。すっかり雪に覆われた山や大地を背景に、列をなして飛んでいる姿は本当に凛々しく、美しかったです。



ちょうど10年前、縁もゆかりもなかった釧路に司法修習生として配属された年、冬のタンチョウをみて感動したことを思い出しました。修習同期の友人からは、雪原の中を舞うタンチョウをみると自然と涙が出るほどに感動すると聞かされ、私もその友人の言っていたことを実感しました。旧1000円札の絵柄にもなっているタンチョウの求愛ダンスも雪原が背景になっています。





タンチョウは日本の野鳥の中でも最大級です。翼を広げると2メートル以上にもなります。日本ではここ北海道にしか生息していません。特に、釧路湿原を擁するここ道東に集中しています。最近でこそ生息数が増えたため十勝や別の地域でも見かけるようです。ロシア、中国、韓国でもタンチョウは生息していますがそれらは渡り鳥です。これに対して日本のタンチョウは留鳥です。タンチョウは、環境省のレッドリスト上、「絶滅の危険性が増大している種」(絶滅危惧2種(VU))に指定されています。国の特別天然記念物に指定され、また、種の保存法上も「国内希少野生動物種」に指定されています。



国内のタンチョウは、一時期、絶滅したと言われていたそうですが、大正時代末期に釧路湿原で数十羽が発見され、その後の懸命な保護活動を通じて、現在では1000羽を超えるほどになったそうです。ただ、遺伝子の多様性という観点からはまだまだ安心できる数字ではなく、伝染病が流行ると壊滅的なダメージを受けるおそれがあると聞いたことがあります。



今、こうして道東で生活していると少し車を走らせるだけで普通にタンチョウがみられます。タンチョウ保護に尽くしてきた先人に素直に感謝します。また、現在、タンチョウ保護活動に従事している方々にも感謝申し上げます。もちろん、数が増えれば人間社会へのかかわりも不可避でありますから、タンチョウが感電して、あるいは列車と衝突して死亡するケースも増えてきます。また、一部の方にとってみれば逆にタンチョウは害鳥にもなっています。タンチョウに限ったわけではないですが、生物多様性を保全するためには、種毎にそれぞれ適正な生息数がどれくらいなのかを把握し、その数をいかに保っていくかが大事だと思います。



ちなみに、タンチョウは「丹頂」と漢字で書きますよね。「丹」は赤いという意味で、頭のてっぺんが赤いため「丹頂」と呼ばれています。赤く見えるのは、「赤い毛」ではありません。頭の皮膚がそのまま露出しているのです。つまり、「赤い頭皮」なのです!



英語では”red-crowned crane”、“Japanese crane”と呼ばれています。

釧路が誇る日本製紙のアイスホッケーチーム「クレインズ」もここから来ています。