弁護士 久保田 庸央
2012.11.09

法律相談のすゝめ(交通事故)

交通事故は誰でも被害にあう可能性があり、比較的身近な法律問題かもしれません。
車をお持ちの方は、ほとんどの方が任意保険に加入しており、交通事故の被害にあった場合、加害者の契約する保険会社が賠償額の提案をしてきたりします。



ところで、一般論として保険会社の提案する賠償額は被害者側にとって多くの場合に十分な内容だと思いますか。



答えは、NOです。
知り合いの保険代理店に聞いたところ、保険会社の提示額は賠償額の限界で、交渉してもそれ以上増額するのは難しいと思っていると言っていました。
NOという答えはもしかしたら多くの方にとって意外なのかもしれません。



しかし、保険会社の立場を少し考えれば、意外ではありません。保険会社が被害者側に高水準の支払をすれば、保険会社の利益も減り、保険料を上げるしかありません。保険会社の立場からすれば、一見妥当に見えるなるべく低い賠償をするというのは当然ということになります。



ですから、保険会社の提示は、被害者側としては不十分なことが多く、交通事故の被害にあわれた方には、弁護士にご相談されることをおすすめ致します。



中には、法律相談の結果、保険会社の提示額以上となるのは難しいという場合もありますが、それならそれで、自信を持って保険会社と示談すればいいわけですから、法律相談を受ける意味は十分あると思います。



また、示談の提案を受けたものの、その内訳とか、損害の費目などがよく分からないという方もいらっしゃいます。賠償額の妥当性だけでなく、そのような場合でも、納得して示談するために必要ですから、ご相談された方がよいと思います。



必ず、そうなるということではないので、以下の話はマユツバものでご覧いただければと思いますが、昨年は変な年で、交通事故の被害者側の民事事件で、保険会社の提示額から10倍以上になった事件が2件ありました(こんなことはあまりありません。)。



また、今年は、裁判まではやりたくはないという方でしたが、保険会社の提示額が300万円代半ばであったものが、私が代理人になって、提示を出し直すようにとの通知を送っただけで600万円以上になったものがありました。
さらに、約800万円の提示が、裁判の結果4000万円以上になったものもありました。



ここまで大きな成果があることは珍しいかもしれませんが、弁護士が事件処理に入ることで賠償額が増額することが多いのは事実です。



保険会社と示談してしまってから、法律相談にお越しいただいたとしても、もっと早くご相談にいらしていれば、違う結果となったとは思うというような回答を差し上げるのが関の山です。



まずは法律相談を受けて、提示額が妥当なのか、事件解決までに要する時間の見込み、弁護士費用等事件解決のための経費を差し引いてどの程度の増額が見込めるか等、色々と考慮した上で、そのまま示談する方が余計な経費がかからなくてよいとか、弁護士を立ててとことん争った方がよいというような方針を決めてから最終結論を出し、後悔のないようにしていただければと思います。



必ずそうなるわけではありませんが、弁護士が入るだけで賠償額が増加することが多く、特に交通事故については、法律相談を受けることを強くお勧め致します。