弁護士 久保田 庸央
2022.04.20

感染者の人数はもはや指標にはならないか

 最近、海外でのマスク着用義務撤廃に伴い、日本でもマスクを外す時期が来たのではないか、いや時期尚早だなどと、マスク着用に関する議論が生じているものと思います。
 元々、日本においては、マスク着用の法的義務はなく、議論の前提が全く違うような気はしますが、これから夏に向けて熱中症のことを考えると、そのような議論は必要でしょう。
 先日、東京にて開催された午後1時からの会議に出席するにあたり、釧路空港発の飛行機の到着が遅れ、会場にぎりぎり到着したときには、マスク着用の同調圧力に屈して昼食を食べそびれました。売店でサンドイッチでも買って、地下鉄の車内で適当に食べることが一瞬頭をよぎりましたが、車内でマスクを外して食べるのは難しいと思い、昼食を断念したということです。
 まぁ、このようなプチ被害にはあっているものの、各種の行事等が中止になったり、延期されたり、制限的に変更になったりという実害に比べれば、それほどの影響はないので、マスクくらいはいいのかなと個人的には思っています。

 ところで、新型コロナウイルスの感染者数の報道が、未だに毎日なされています。もはや、この数が多いのか、少ないのか正直なところ分かりません。
 北海道では、国とは別に警戒レベルが設定されています。レベル0からレベル4までの5段階となっています。
 移行の指標として、
 レベル0 2週間程度の新規感染者数がゼロの日が継続
 レベル1 新規感染者が散発的に発生
 レベル2 ①「病床(又は重症病床)使用率」が20%超を超える
      ②「新規感染者数」が10万人あたり15人/週を超える
      ③「療養者数」が10万人あたり20人を超える
      ①~③を全て満たす
 レベル3 「病床(又は重症病床)使用率」が50%超を超える
 レベル4 「病床(又は重症病床)使用率」が100%超を超えるおそれがある
 北海道新聞には、この指標を表にして、病床使用率、重症病床使用率、1週間の10万人あたりの新規感染者数、10万人あたりの療養者数が毎日掲載されています。
 日々、数字にはあまり変動はありませんが、令和4年4月27日掲載のデータですと、病床使用率は14.9%、重症病床使用率は5.1%となっており、いずれも、上記レベル2には達していない状況です。
 ここで、感染者数等に着目すると、1週間の10万人あたりの新規感染者数は352.9人、療養者数は441.3人となっています。いずれもレベル2の移行指標の15人とか20人の20倍以上となっており、もはや指標としては機能していないことは明らかです。
 にもかかわらず、道内各地については、地域ごとの感染者数は毎日報道されるものの、地域ごとの病床使用率なるものは報道されていません。
 賛否はあるかもしれませんが、個人的には、あまり意味のない数字に踊らされているような気がします。

 マスクの着用くらいはいいかなとは思ってはいるのですが、過度に同調圧力の強い我が国においては、海外のようにウィズコロナとなるためには、マスクを外す必要があるのかなと思い始めています。日々目に見えるマスクを外すことによって、必要以上に恐れたり、必要以上に委縮するということから解放され、国民が自由な発想で行動できるようになるのではないかと考えている今日この頃です。