弁護士 小田 康夫
2021.11.03

「知らなきゃ損!将来、役にしか立たないはなし」@中標津中学校~中学2年生の質問に全部、回答しました~

そんなわけで、
10月29日金曜日、中標津中学校にて、ようやく実施できました。
講師を務めていただいた弁護士の島袋先生、税理士の小林先生、司法書士(兼中標津町議会議員)の宗形先生、忙しいところ本当にありがとうございました。

当日、
各講義は20分以内にしていただき、10分間の質疑応答。
非常にタイトなスケジュールであったため、弁護士に対する質問には、すべてに応えることができませんでした。

講義中、
「応えることができなかった質問は後ほど、すべて、HPなどで回答を致します!!!」とアナウンスを致しました。質問は想定以上に多く(40個!)そう言ってしまったことを少し後悔していますが、約束をした以上、かなり簡略化したところがありますが、回答をさせていただきました。

なお、
回答は、あくまで私の個人的な回答です。
また、質問の前提に誤解が見受けられるところがありますが、質問の文章は、一切変えずに記載しています。


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★★★弁護士って何だ!?何をしてるんだ!?関係★★★

①弁護士さんの1日の仕事の流れを知りたいです。
「私は中標津町の中尾書店の坂を下ったところに事務所があり、そこで仕事をしています。昼間は相談者の方が事務所に来て、例えば『交通事故でケガをしてしまった。慰謝料などをちゃんと払ってもらいたい』『おじいちゃんが亡くなった。おじいちゃんの財産を分けたいが、相続の話がまとまらない』などの話を聴きとり、法的な助言をします。このような相談を1日2~3件前後、受けることが多いです。その合間に、裁判所に提出する文章をパソコンで作成したり、裁判所に行ったりします。裁判所は、中標津町にはありません。裁判所のある標津町や釧路、根室に、車を運転していきます。」

②弁護士の仕事はなんですか。
「結局、弁護士の仕事とは何か、何をしているかというと、いろんな人の話を聴いて、トラブルの本質を見極め、解決の道を探っていくということに尽きます。よくドラマで出ている法廷のシーンが流れますね。法廷で、尋問をしたり、相手方の弁護士に対し反論したりするのも、トラブル解決に至るプロセスの一場面です。」

③大変なことは何ですか。
「裁判となり、数年経過するケースは一定数あります。中標津町から遠方の裁判所に何度も行かなければならないものもあります。」

④辛いこと
「弁護士の仕事以外にも団体に加入していることもあり、とにかく毎日、色々なことに挑戦しています。毎日、辛いところと面白いところ、両面があります。」

⑤弁護士になるまでに大変だったことはなんですか。
「私が司法試験を受験した当時はいわゆる三振制度がありました。3回振るとアウト、つまり、3回試験に落ちると、司法試験を受けるには再度ロースクール(法科大学院)を再度卒業しないといけないということで、事実上、試験は3回しか受けられませんでした。試験に2回落ちてから3回目の試験を受験する間は、精神的にも肉体的にも大変でした。」

⑥大きな裁判にでたことはありますか。
「大きな裁判も小さな裁判もないというのが回答ですが、大きな裁判というのがニュースとなって社会が注目する裁判という意味であれば、何度かあります。裁判員裁判というのは知っていますか。裁判員裁判で弁護人を務めたことは何度かあります。」

⑦弁護士になるまでとなった後ではどちらが大変ですか。
「弁護士になった後のほうが大変ですね。ただ、弁護士になる前は勉強した内容がどのように事件解決に結びつくのかわからず、勉強のための勉強をしていたのに対し、今は、法的な理論体系が現実社会との間で、どこがどう結びつくのかがわかるので、大変ですが、とても面白い仕事だと感じています。」

⑧弁護した方と裁判が終わった後にも交流を持ち続けることはありますか。
「裁判が終わっても、つながりが続くことがあります。」

⑨どのような人が弁護士さんを頼りますか(どのような人が相談に来ますか)。
「悩みを持っている方です。また、この社会の中に悩みを持っていない方はいません。」
「弁護士に対する相談内容で多いものは何ですか、という質問であれば、私の場合、交通事故や遺産相続、会社のトラブルなどの相談内容が多い印象です。」

⑩弁護士の正装はありますか。裁判の時は自由服ですか。
「日本では弁護士の制服はありません。基本的にスーツで法廷に入ることは多いかと思います。」

⑪弁護士ドラマで間違っていることはありますか/弁護士ドラマを見た後どんな気持ちになりますか。
「イロイロ思うところがあります。が、一つ挙げるなら、ドラマだと、弁護士が非常に人目を引く言葉を使ったり、大げさに記者会見をしたりすることがありますが、通常、弁護士があまり目立たない方が、適切な落としどころに向かうケースが多いので、ドラマを見ていると、『こんなに弁護士が目立っちゃってあとあとトラブルがより深刻にならないのかな?』と疑問に感じることがあります。」

⑫弁護士を雇うときの注意点、価格はいくらか。
「弁護士と依頼者との間の取り決めを、委任契約(いにんけいやく)と呼びます。委任契約は信頼関係が基本となりますので、一方が信頼関係を維持できないと判断すれば、委任契約は終了することになります。一般の契約でも同じですが、相手が信頼できるかどうかが大事です。事前に、まずは自分の頭で考えて、調べて、解決策を考えてみることが重要です。弁護士に話を聞く際に、自分で調べた情報を、弁護士にぶつけてみて、弁護士の回答が曖昧だったりしたら、その弁護士には依頼をしない方が良いと思います。弁護士費用は、自由化されているため、一概にはいえません。ただ、少し古い基準では、着手金8パーセント、報酬金16%くらいとされていました。例えば、『100万円を請求したい』という場合、弁護士費用は24万円(8万円+16万円)前後になることが多いように思います。」

⑬弁護士バッチがみたいです。
「事務所に来てください。時間が空いていたら、いつでも見せますよ。」

⑭連休や休みはありますか。
「事務所によりますが、私の事務所では、休みは基本的に土日祝日です。連休は取れます。」

⑮年収はいくらくらいですか。
「ピンキリですが、友人の弁護士や同業者の方に聞いていくと、600万円~1200万円の年収がボリュームゾーンであるように感じます。」



★★★「訴えてやる!」「訴えられた!」民事のトラブル関係★★★

⑯弁護士は証拠がないと弁護できないんですか。
「証拠はイロイロあります。おそらく質問をしている方が、思っている以上に、証拠はたくさんあります。例えば、写真がなくても、ラインのやり取りがあれば、多くの事実が認められるでしょう。証拠には、写真やライン以外でも、『こんなことがあって、さらに、こんなことがあって』というメモがあれば、それも証拠になります。」

「少し話は変わりますが、A君がB君に『お金を貸した』、それに対しB君は『借りたけれど、もらったものです』という話があった場合、何らかの理由があって、A君からB君にお金が動いたという事実は認められます。そもそも証拠がいらないケースがあります。」

「質問に回答すると、『証拠がない』という状況はそんなに多くありませんし、また、証拠がいらない場面もあります。ただし、的確な証拠がない場合に裁判で勝てるか、と言われると、それはやはり勝訴の可能性は低くなってしまいます。」

⑰裁判の流れを知りたいです。
「原告が『訴状(そじょう)』を書いて、裁判所に出します。」

「被告は訴状の内容を見て、反論書を書きます」

「裁判は大体1か月に1回開かれますから、被告の反論を受けて、原告の再反論と、被告の再々反論・・・と繰り返されます。」

「原告と被告の主張(=「こんなストーリーです」「いやいや本当はこんなストーリーです」)とあわせて、原告側・被告側の各ストーリーを基礎づける証拠も提出されます。」

「裁判所は、原告側と被告側のストーリーのうち、言い分が食い違う部分について、証人を呼んで、話をきいたりします。」

「原告側と被告側で譲り合って、和解をする場合がありますが、和解がうまくいかないと、これまでの証拠に基づいて、裁判所が判決を下します。」



★★★「法律」って何ですか!?★★★

⑱裁判所の判決は何を基準に決めているのか。
「法律に沿って判断しています。」

「法律の規定は『やや曖昧(あいまい)』です。幅を持たせて規定されています。そのため、過去の裁判所の判断を基礎に、場合分けをして、『こっちのケースはこれくらい』『あっちのケースはこれくらい』というように、一定の「類型化(るいけいか)」をして、最終的な結論の支えにしています。」

「当然ですが、裁判官が勝手に決めているわけではありません。法律を作るのは国会です。国会の議員を選ぶのは国民です。国民が議員を選んで法律を作っているのですから、裁判所の判決は、みなさんの総意を基準に決められていることになります。」

「また、法律があっても、法律だけで、判決が決まるわけではありません。今回のケースで、どんな事実があるかが争いになります。みんなが決めた法律があって、その法律に沿った事実がある。その場合に初めて(ようやく)裁判所が判決を下すことができる、という建付けになっています。」

⑲あったらいいなと思う法律はありますか/無くした方が良いと思う法律はありますか。
「回答をはぐらかしているわけではないのですが、法律はみんなが決めたルールです。法律は弁護士のものではなく、みんなのものです。ないものがあれば作ればいいですし、なくしたいものがあればみんなで考えてなくしていきましょう。それが民主主義というものです。よい法律がなければ、一緒に創っていきませんか。」



★★★検察官とのバトル!?刑事事件について★★★

⑳正当防衛と過剰防衛のボーダーラインは何ですか。
「結論的には、過剰かどうか。言い換えれば、『やりすぎ』てしまうと過剰防衛になります。相手が殴りかかってきたのに、バットで殴り返したという場合は『やりすぎ』でしょう。武器対等の原則、つまり、素手と素手なら対等ですから、やり方にもよりますが、原則的には正当防衛です。その場合には『やりすぎ』という評価は受けません。」

「ただし、前提として、正当防衛が認められるケースはそんなに多くありません。」
「ポイントは、正当防衛の成立はそんな簡単に認められるものではない、というところです。例えば、『近づけば喧嘩になる』ことがわかっていて、『攻撃してきたらバットで殴り返してやろう』と考え、あらかじめ用意していたバットで相手に反撃したという場合、正当防衛ではない、という判断がなされる可能性があります。正当防衛が認められないなら、当然、過剰防衛は成立しません。正当防衛が成立する場面は、意外に少ないと覚えておきましょう。」

㉑罰金は最大いくらですか。
「今、インターネットで調べてみました。7億円のようです(金融商品取引法207条1項1号)。」

㉒死刑判決がでる基準を教えてください。
「基準はない、といったほうが正解に近い気がします。基準も大事ですが、併せて『死刑制度』自体が、現代の国家において適切な制度なのかについても、十分に考えていく必要があります。」

㉓一番重い犯罪は何ですか。
「日本の刑法では外患誘致(がいかんゆうち)罪でいう犯罪があります。外国に働きかけて、外国が日本に武力を行使するようなケースですね。この罪は、懲役刑などの規定がなく、法定刑は死刑のみです。過去の裁判で適用された例はないと思います。」

㉔どのような罪を犯した人を弁護しましたか。
「イロイロな方ですね。」

㉕なぜ犯罪を犯した人を弁護する必要があるんですか。
「『犯罪を犯した』か否かを決めるのが裁判です。犯罪を犯したことが確定していない場面では、十分に言いたいことを言える状況が必要ですし、そういう保障がないと、えん罪が生まれてしまうかもしれません。無実の人が有罪になるという事態が生じることは、絶対に許されません。そのためには、何らかの仕組みが必要です。あなたが制度を作るとしたら、どんなルールがいいでしょうか?現状、公開法廷で行われる刑事裁判では弁護士が必ず関与することになっています。こういう工夫をすることで、十分に言いたいことが言える状況を確保し、えん罪が生じないようにルールにしているのです。ほかにもいろいろな方法で、えん罪を防止する仕組みがあります。ぜひみんなにも、えん罪を防止する仕組み、言い方を変えれば、真の犯人を捕まえる仕組みを考えてほしいなと思います。」

㉖悪いことをした人や被告人の弁護をするときの気持ちを教えてください。
「質問の前提について、上の話と重なりますが、やや違った観点から話を始めたいと思います。」

「絶対的な真実は、神様でない限り、わかりません。人間は神様ではありませんから、真実がわからない中、人が人を裁かないといけないのが裁判です。そうすると、証拠から犯人だということを認めていかないといけませんが、人間である以上、ミスがあったり、判断にぶれが生じたりします。人間は、偏った見方(=バイアス)からは逃れられません。そこで、あやまった判断をできる限り排除するために、疑わしい事実があったとしても、それだけでは、有罪にしてはならないとされています。」

「まず、質問に形式的に答えるなら、『悪いことをした人』という断定ができるのは、適切な証拠に基づき、判決が下されるまではわからない。『悪いことをした人』が真実、悪いことをした人だと言い切るにはいろいろなプロセスを経る必要がある、というのがまず一つの答えです。」

「さて、ご質問の趣旨をもう一度考えると、これは、もう完全に被告人も自分の罪を認め、証拠上も争いがなく、有罪となるケースを念頭に置いているものでしょう。そうなると、確かに、極論すれば、『被告人の利益なんて考える必要がないじゃないか』そう考える人もいるかもしれませんね。」

「まずひとつの回答としては、刑の重い軽いは、被告人の年齢や、これまでの環境なども考慮されます。だから、『悪いことをした人』だから、全部重い処罰が必要であるとはいえません。」

「また、被告人が言いたいことを十分に言える状況を確保しておくことは、とても重要だと思います。ここでいう『被告人』とはいったい、誰でしょう。まず、被告人というのは、今、ここで裁判になっているその人自身です。そして、もっと広く、『将来、被告人になりうる人』も含んでいます。じゃあ、『将来、被告人になりうる人』というのは、誰か。」

「明日、私自身が、交通事故などで、人の命を奪ってしまうかもしれませんから、私自身も『将来、被告人になりうる人』ですし、この社会にいるみんなが『将来、被告人になりうる人』といえるかもしれません。」

「その可能性は低いかもしれませんが、その可能性がないとは言い切れない。『悪いことをした人』や『被告人』というのは、明日の自分かもしれません。言い方を変えれば、私も被告人の方と同じ境遇だったら、同じような罪を犯していたかもしれません。被告人が罪を犯した原因にはいろいろなモノが関係しているかもしれません。今この目の前の被告人の利益を守ることは、将来の被告人の利益を守るかもしれません。」

「今回の被告人が、完全に有罪だから、十分に言いたいことがいえなかったり、やり方がいい加減だったりすると、また次回もそんな手続きが繰り返されてしまうかもしれません。人間は完ぺきではありませんから、いい加減な方法が当たり前になってしまえば、非常に大きな問題です。」

「将来、えん罪が生じることは絶対に許されません。今ここにいる被告人に対し、杜撰(ずさん)な手続保障しか用意しなかったら、将来、えん罪が生じる可能性は高まってしまいます。というのも、過去のえん罪をみても、もっと慎重に裁判を進めていれば、えん罪にならなかったケースがあります。『いい加減さ』『杜撰さ』『甘え』が招いた結果と思われるものがあります。将来のえん罪を防ぐ意味で、たとえ有罪が明らかな事件でも、弁護士が関与して、被告人が言いたいことを言える状況を確保することはとても重要なことです。」

「前置きが長くなりましたが、質問の答えとしては、将来のえん罪を防ぐという意味で、やりがいを感じながら、やっている、というものになります。」

㉗今まで何人弁護しましたか。
「100人くらいでしょうか。」

㉘被告人と話すときはどのような事に気をつけていますか
「普段と変わりません。」

㉙殺人者の弁護をしたことはありますか。
「ありません。」

㉚弁護士のドラマでは検察の方とバチバチですが、実際はどうですか。
「バチバチで、毎日、喧嘩しているかというと、そうではありません。弁護士は被害者の代理人となって検察官と一緒に、事件を進めることもあります。刑事事件では、法律が求めている弁護士の役割と検察官の役割が異なるだけです。」

㉛弁護をしていて無罪を勝ち取る確率が0.1%しかないのは本当ですか
「有罪・無罪というのは、検察官が被告人を起訴して、裁判になったケースを指しています。無罪となる可能性は確かに低いのですが、検察官が起訴をする前に、弁護活動がうまくいって、起訴を防いだケースはかなりの数があると思います。私が扱った事件でも、長時間の取り調べにより、有罪を認め、自白してしまったものの、私に依頼があり、警察官等と交渉をした結果、起訴されずに、実質的には、無罪となったケースが、複数件あります。だから、警察官が自白をさせた事件の中にも、無罪のケースは、1%以上あるということは経験的に感じています。」

㉜人をあだ名で呼ぶことは犯罪ですか。
「普通、犯罪は成立しません。ただ、変なあだ名をつけるなどして、人を侮辱すれば、刑法の侮辱罪に該当する可能性があります。」



★★★裁判っていったい何なの!?★★★

㉝裁判は長くてどのくらいかかりますか。
「私が経験しているもので、長いのは4年くらいです。ケースとしては少ないですが、何十年も継続的に裁判がなされているものもあります(えん罪事件など)。」

㉞裁判所主導の再捜査に関わったことはありますか。
「私の経験ではありません。ドラマなどで、裁判官が現場に行って、推理ゲームのように事件を解決してしまうものがありますが、普通、裁判官は、原告や被告が提出した主張(=ストーリー)や証拠に基づいて判断をします。また、裁判官が勝手に原告や被告のストーリーにないこと、証拠にないものを利用して判断してはいけないことになっています。」



★★★将来、法曹を目指す中学生へ!★★★

㉟学生の頃は、成績は良かったですか。
「計根別中学校のときは学年で12人しか生徒がいなかったので、参考になるかわかりませんが、5段階評価で4以上だったと思います。中標津高校に入っても、それは維持していました。ただ学校の成績が絶対ではなく、指標の一つくらいにみておけば良いと思います。今だと、●●検定など色々な指標があるので、そちらで上位を目指すという方法もあると思います。」

㊱大学にはどのくらいの年数通いますか。
「少し制度が変わると思いますが、一般的なルートですと、大学(法学部)に4年間、その後、ロースクールに2年か3年間通い、司法試験に合格し、約1年間の研修期間を経て、弁護士や検察官、裁判官になります。」
「また、予備試験と言う試験に合格すれば、大学やロースクールを飛び越えて、司法試験の受験資格を取得できます。」

㊲法律はすべて暗記していますか。
「暗記していません。」

㊳弁護士になるまで何年かかりましたか。
「中標津高校を卒業して、1年間浪人生活を経て、大学に進学しました。大学1年から勉強して、大学卒業後、2年間ロースクールに行きました。その後、司法試験を3回受けて3回目で合格しています。合格後1年間、旭川で研修を行いました。浪人生になってからで計算すると、弁護士になるまでに10年間かかったという計算になります。」

㊴弁護士さんの仕事の魅力について教えてください。
「ありきたりですが、やはり依頼者の方から直接『ありがとう』と言われるのが魅力でしょう。」

㊵弁護士になるまでどのような勉強をしたか。
「『どのような勉強をしたか』は時代を経て試験の出題内容も変わってしまい、勉強の仕方も変わってしまうため、回答は難しいです。回答になっているか微妙ですが、私は北海道大学法学部に進学して、1年生のうちから仲間と一緒に、司法試験の勉強を始めました。当時、大学の教授に民法の藤原先生という、司法試験合格者を多数輩出している教授がいらっしゃったので、その教授のゼミに参加しました。司法試験は『団体戦』と言われることがあって、そのゼミに参加し、優秀な人と一緒に勉強をしていると、『団体戦で勝てる』つまり、自分も合格する流れに乗ることができました。大学では同志を作ることがとても重要だと思います。」



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今回のセミナーは、正解なのか不正解なのか二者択一ではない問題に、自分の頭で考えることの重要性をわかってもらうことが一つの目的でした。では、自分の頭で考えるにはどうしたらよいか。そのためには、社会の仕組みを正しく知ることが必要です。
中学2年生の質問では、「犯人」とか「罪を犯した人」という言葉が、当たり前に使われていました。「ネットやメディアで取り上げられた人」=「真犯人」であることを前提に質問しているのでしょう。しかし、当たり前ですが、大きく報道された事実が、「全て」「真実であり、それが後に覆ることとのない、客観的絶対的なもの」であることは、およそありえません。社会の仕組みを知るには情報をどう分析するかが重要なのかもしれません。情報を分析するには、物事を疑ってみる姿勢が大事。物事を疑ってみる姿勢が、自分の頭で考える訓練になるような気がします。

さて、今回、中学2年生から質問を募集したのは、法教育セミナーの1か月以上前でした。

今回のセミナーが終わって「当たり前のことは当たり前じゃない」ということを学んでくれたのではないかと期待します。正解のないことを自分の頭で考え、クリエイティブに未来を切り開いていってほしい。今回のセミナーを通じて、自分の頭で考える方法論のヒントを得て、更に自分の可能性を広げ、遠くに羽ばたいてもらえたら、コーディネータとして大変うれしく思います。