弁護士 久保田 庸央
2020.05.20

朝蜘蛛、夜蜘蛛

最近、新型コロナウイルスの影響で家で過ごすことが多くなりました。
子供達も学校や各種活動がなくなり、また、外出をしないようにしているため、家にいることが多くなりました。
私は、あまり発見しないのですが、子供達は目ざといのか、よく蜘蛛を発見します。同じ時間を子供達と過ごすことが多くなっているので、子供達が蜘蛛を発見する姿によく遭遇するようになりました。

「朝蜘蛛は殺すな、夜蜘蛛は殺せ」というのを聞いたことがあるでしょうか。
私も聞いたことがあるくらいで、どちらかがよくて、どちらかがダメだというくらいの認識しかなかったのですが、蜘蛛の発見が多くなって、インターネットで検索してみました。
その結果を用いて、子供達と簡単に話してみたのですが、朝の蜘蛛は外に逃がすとして、夜の蜘蛛も殺す必要はないのではないかということになりました。
確かに、夜蜘蛛は殺せというのも、泥棒を招くというような迷信であり、殺す必要はないものと思います。また、蜘蛛は害虫を食べてくれるものが多く、益虫とも言え、見た目が気持ち悪いということはありますが、退治する理由はそもそもないかもしれません。人間の迷信によって、縁起のいいものとされたり、縁起の悪いものとされて殺されたり、蜘蛛にとっては迷惑な話でしょう。


ある年の2月の朝、居間で蜘蛛を発見したことがありました。この頃は、朝と夜で、どちらかがよくて、どちらかがダメだというくらいの認識しかなかった時期です。
どちらかは分かりませんでしたが、逃がしてやることにし、そっとベランダに置いてやりました。
トコトコトコトコッと、元気に走り出しました。
ト、コ、ト、コ、ト・・、コ・・、ト・・・、コ・・・、ト。
「・・・!」

止まりました。
よく見ると、凍っていました。
家の中は暖かいので、極寒の釧路の早朝に外に逃がすということが蜘蛛にとって危険なこととは全く思い至らず、いいことをしたつもりが、悪いことをしてしまいました。

縁起のいい時間の蜘蛛を殺めてしまったので、その後しばらくは私に災いが降りかかっていたかもしれません。