弁護士 小田 康夫
2020.02.06

頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアになりました(3年前)

 この時期になると思い出します。
 あれは平成28年12月18日のことです。阿寒のロイヤルバレーというスキー場に到着し、4時間券を購入し、リフトに乗り、頂上で降り、さあ今季初すべりと思って、滑って、転びました。起きようとすると、首に激痛が走り、山の中腹あたりで、そのまま動けなくなりました。

 一緒に滑りに行っていた方が周りに声をかけてくれ、スノーモービルで下山。救急車に乗り、病院へ直行。病院へ行くと、レントゲンを撮り、特に問題はないとのことで、少し首を引っ張り、痛みが和らいだので湿布をもらい帰りました。ただ、翌日以降も痛みが残り、別の病院でMRIを撮ると頸椎の5番目、6番目あたりの椎間板が変形しており、そのせいで神経が押され、痺れているということでした。数か月ブロック注射を定期的に打ち、今は痛みがだいぶ和らぎました。

 話は変わりますが、交通事故の被害にあった場合、被害者は、加害者(の保険会社)から治療に必要な費用や入院・通院の慰謝料を請求できますが、相談者さんから、
「事故後、手足に痺れが残っているのに、レントゲンしか撮っておらず、頸椎捻挫としか診断されません」
という話がされることがあります。その場合、
「MRIを撮影してもらった方がいいでしょう。」
「別の病院で検査だけでもしてもらったらどうですか。」
「医師の方が椎間板ヘルニアにあまり詳しくないのかもしれません。」
という話をすることがあります(なおケースバイケースです)。

 私も最初に行った病院では診断名がきちんと付きませんでした。
仮に、交通事故が原因で私が救急車に運ばれて当該病院に通院したというケースだと、薬も痛み止め程度ですから、大変です。早々に、保険会社から「まだ通院するのですか?」「もう治療しても治らないのでは?」「痛み止めということは対症療法ですから、既に治療をしても効果がない状態=症状固定で、これ以上、治療するなら治療費は自己負担でお願いします」と言われかねません。

 スノーボードでも交通事故でも、頭や首付近に衝撃を受けた場合に手足に痺れが残ることがあり、それを明確に医師に伝えないと、診断が適切になされないケースもあります。頸椎はいわゆる首の骨ですが、通常7個の骨(椎体)があります。椎間板は各椎体の間にあるクッションのことです。椎体が変形しクッションとなる椎間板が押されると、神経に触れてしまい、その神経は身体の各部位に繋がっていますから、身体の各部位が痺れたり、歩行が困難となったりすることもあります。頸椎は番号が振られており、1番上からC1、C2、C3・・・C7と言われます。例えば、私の場合では手の指先のところに痺れあったのですから、そのあたりが痺れる原因を探そうと考えると、おのずと、頸椎や椎間板(特にC5、C6あたりの神経は手の指先に伸びています)に何らかの異常があるのかもしれないとなるわけです。医師は医学知識が豊富ですが、交通事故の専門家というわけではありませんので、一度、不安があれば、他の医療機関に事故後早い段階でセカンドオピニオンを求めることも必要です。なお、ある病院に通院していたが、急遽、病院を変えたことから、保険会社に治療費の支払いを打ち切られてしまうケースもありますので、変更をする際には事前に保険会社に相談しておきましょう。