弁護士 荒井 剛
2018.07.30

冷涼な釧路

 先日、観測史上初めて、東京都内で気温が40度を超えました。これまでも岐阜県の多治見市で40度を超えていたことがありましたがいよいよ東京都内でも気温が40度を超える時代がやってきたのかと思いました。今年は東京だけでなく全国的に、とりわけ豪雨被害のあった西日本でも猛暑が続いています。地球温暖化の影響があるとも言われておりますが温暖化傾向がおさまる気配がない以上、今後もさらに気温が上昇していくおそれがあります。

 ここ釧路でも昔と比べれば温暖化傾向がみられます。それでも他の地域と比較すると圧倒的に夏は過ごしやすい地域です。連日、全国各地の最高気温が30度を超える天気予報のニュースを見て戴きたいと思いますが、北海道の道東にある釧路だけは何やら別世界です。
東京、岐阜、広島等の最高予想気温が34度となっているところ釧路だけは17度となっていたりしています。最低気温ではありません。最高気温です。夏に東京出張に行き、釧路に戻ってきたときに感じる釧路空港での爽やかな風は本当に最高です。
 
 まずそもそも釧路では30度を超える日が年に数回あるかないといわれています。25度を超える日すら少ないです。実際はどうなのかと思い、気象庁のデータを確認してみました。

 1981年から2010年までの30年間、8月に最高気温が25度を超えた日の平均日数、さらに30度を超えた日の平均日数というデータがありました。

 まずは、東京、岐阜、広島の過去30年における8月の25度超え及び30度超えの平均日数のデータを抽出してみました。
(25度超え)      (30度超え)
   東京 29.6日       21.3日
岐阜 30.5日       26.7日
広島 30.9日       27.4日

 このデータを見る限り、8月の最高気温が25度を超えるのは当たり前であり、最高気温が30度を超える日も月の3分の2以上あることがわかります。

 ところで、北海道は、本州と比べると夏は涼しいと言われています。そこで、北海道内の釧路を除く主要都市である札幌、旭川、函館についても調べて同様のデータを抽出してみました。
(25度超え)      (30度超え)
   札幌 20.0日        5.0日
旭川 20.9日        5.7日
函館 19.4日        2.8日

 このデータによれば、札幌、旭川及び函館でも8月となれば25度を超える平均日数が20日ほどあることがわかります。ただ、たしかに30度を超える平均日数となると東京、岐阜、広島と比べると極端に少なくなります。その分、8月の北海道が過ごしやすい気候であることがわかります。

 それでも釧路に住んでいる身としては、8月に道内の各地を回ったときに釧路以外は北海道とはいえ結構暑いなと感じることが多いです。
 
 では、ここで釧路のデータをみてみましょう。

 まずは過去30年の8月に最高気温が25度を超える平均日数です。

「3.3日」

 東京、岐阜、広島が30日あるのに対し、たった3日しかありません。

 さらに、最高気温が30度を超える平均日数となると・・・
「0.1日」

 驚愕の「0.1日」です。
あまりの数値に自分でもびっくりしたくらいです。
このデータによれば、釧路の8月は、ほぼ30度を超える日がないということになります。
ただ、これはあくまで8月のデータであり、7月や9月に稀に30度を超える日があります。でも実感覚として30度を超える日が年に1度あるかないかというのは正しいということになります。

 そんな冷涼な釧路では、夏に「ビアガーデン」ならぬ「ヒアガーデン」(冷ガーデン)が開催されています。また、数年前から、民官が協力し、避暑のため釧路に一定期間在住してもらおうと釧路への滞在を誘致しております。その甲斐もあって北海道がまとめた“北海道体験移住「ちょっと暮らし」”によれば、平成23年度から6年連続で釧路市が北海道ナンバーワンになっております。

 釧路には釧路湿原もあります。少し車を走らせれば世界遺産の知床もあり、自然が豊かです。シマフクロウ、タンチョウヅルという国の天然記念物にも運がよければ出会えます。夏こそ、冷涼な釧路に是非お越しください。