弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 鍛冶 孝亮
2016.05.20

家は買うべきか、借りるべきか(前編)

1 私は今年で34歳なのですが、最近「そろそろ家を建てようか」と検討し始めた友人などが増えてきた気がします。
現在、住宅ローンの金利が安くなっているなど、家を建てることに追い風が吹いているともいえますが、一生に一回の大きな買い物になりますので、慎重に考える必要があります。
そこで今回は、弁護士兼ファイナンシャルプランナーとして、お金の面や法律問題の点から、家は買うべきか、それとも借りるべきかを分析していきたいと思います。
前編ではお金に関わる話を中心に行い、後編では法律問題に関わる話を行っていきます。

2 賃貸の場合、ただ家賃を支払い続けるだけですが、家を購入した場合、住宅ローンの支払は資産形成を意味するため、これが家を購入するメリットだと言われることがあります。
つまり、住宅ローンを完済すると土地や建物に設定されていた金融機関の抵当権(住宅ローンの支払ができなくなったときには、土地や建物の売却代金の中から優先的に住宅ローンの返済を受けるため、抵当権が金融機関によって設定させられることが一般的です)がなくなるため、持ち主は自由に自宅を処分することができます(抵当権が設定されている状態でも売りに出すことはできるのですが、このような物件を購入する人はいないと思われます)。
例えの話ですが、1か月6万円の家賃又は住宅ローンを30年間支払っていた場合、その支払総額は2160万円となります。
家賃の場合、この金額が手元に戻ってくることはありませんが、家を購入していた場合で、住宅ローン完済後、土地建物が支払総額の半額で売れた場合には、手元に1080万円が手に入ることになります。売りに出さないにしても、第三者へ賃貸し、賃料収入を得ることができる場合もあります。
確かに、住宅の購入には、このような資産形成の側面があると思います。
もっとも、土地建物は当然に資産と評価できるわけでなく、負債となっている場面もよく見ています。このことは、後編で詳しく述べたいと思います。

3 次に、税金の控除の点を分析したいと思います。
住宅ローン控除という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますし、実際、住宅ローンを負担されている方は、この制度を利用されているかと思います。
この制度は、住宅を住宅ローンで購入した場合、一定の要件を満たせば、所得税と住民税が減額されるという制度です。
サラリーマンなどの給与所得者だけでなく、自営業者も利用することができるとされています。
詳しい制度内容は割愛しますが、賃貸ではなく、住宅ローンを負担していたほうが、税金の控除の点で有利になる場面があるということです。
一方で、土地建物を所有している以上、固定資産税を納める必要があります。所得税と住民税の控除を受けられますが、固定資産税という別の税金を支払わなければならないことは注意しないといけません。

4 保険に関しても、住宅ローンと賃貸の場合で支出に違いが出る場合もあります。
賃貸の場合も、住宅ローンを支払っている場合も、万が一に備えて、各種保険(死亡保険、傷害保険など)に加入されている方がほとんどだと思います。
実は、住宅ローンの中には、ガンや三大疾病に関する保険が付けられるものがあります。
北海道の某銀行の住宅ローンの商品を参考にすると、ガンと診断されたり、脳卒中や急性心筋梗塞で所定の状態が特定の期間以上継続した場合などには、住宅ローンの残高が0円となるものです。さらに、申込者の配偶者が、女性特有のガンと診断された場合には、一時金として100万円が支払われるようです。
各金融機関で取り扱っている住宅ローン商品の中には、このような保険付のものもあるのです。
そもそも、住宅ローンを申し込むときには、団体信用生命保険に加入することが一般的です。団体信用生命保険とは、住宅ローンの借主が、死亡又は高度障害状態になった場合、保険会社から住宅ローン残高が金融機関に支払われ、住宅ローンが完済されるというものです。
しかし、一般的な団体信用生命保険では、高度障害状態ではない疾病(ガンなど)は、保険金支給の対象外ですので、そのような疾病で就労ができなくなり、住宅ローンの支払ができなくなったときに備えて、保険に加入する必要があります。ただし、前述したガンや三大疾病となった場合には住宅ローンを支払わなくてもよいという保険付の住宅ローンの場合には、この点を心配する必要はありません。
もっとも、あくまでも住宅ローンを支払わなくてもよいという保険内容であることが一般的であるため、入院費用や手術費用をカバーしてくれる別の保険に加入することを検討しなければなりませんし、ガンや三大疾病に関する保険を住宅ローンに付ける場合には、保険料を上乗せした住宅ローンを支払っていく必要があります(途中解約は不可)。
賃貸の場合だと、住宅ローンのような多額の債務を負っていないため、この債務が支払不能になったときに備えた保険に加入する必要はありませんが、住宅ローンの場合には、前述の保険付の住宅ローンに選択するのか、選択した場合、この保険でカバーできない支出に備え、他の保険にも加入するのかどうかを検討しなければならない場面が出てくると思います。

5 住宅ローンを完済した後の話です。
住宅ローンを完済すると、これまで支払っていた住宅ローンの支払分は、貯蓄などに回すことができます。一方賃貸の場合、住み続けている限り、賃料は支払い続けなければなりません。
しかし、住宅ローンを完済したからといって、自宅に関する支出はなくなるのでしょうか。
まず、前述したとおり、土地建物を所有している以上、固定資産税を納める必要があります。
そして、20年、30年住み続けた家であれば、ボイラーが故障したり、屋根が傷むなど不具合が生じてくるため、リフォームが必要になってくる可能性もあります。
また、年をとって自由に体を動かすことができなくなったことで、玄関や階段、お風呂やトイレに手すりを設置するなど、自宅をバリアフリー化とするためのリフォームが必要になってくる可能性があります。
リフォームの資金がない場合には、リフォームローンの借入を検討しなければなりませんが、借入ができたとしても、このローンを返済していかなければならないのです。その時点で既に退職している場合には、支給される年金から返済をする必要があります。
このように、住宅ローンを完済したからといって、自宅に関する費用をまったく支出しなくてもよいことにはならないのです。
ちなみに、賃貸の場合、ボイラーの故障や屋根の修理などの修繕費用は原則として貸主が負担するため、借主は支出を考える必要はありません。
そして、自宅に住む者に介護が必要になった場合には、ホームヘルパーに自宅へ来てもらう訪問介護とするのか、介護施設に入所して介護を受けるという施設介護とするのかを検討しなければなりません。
もし、施設介護を選択し自宅を空けることになったとしても、不在の間の自宅の固定資産税、電気代や水道代の基本使用料、火災保険などは負担しなければなりません。長期間誰も住んでいないということになれば、空き巣対策のため、防犯対策(警備会社へ依頼するなど)も必要となってきます。
このような状態の自宅は、住んでもいないのにお金がかかるマイナスの財産であるといえるでしょう。
賃貸の場合だと、借りている部屋を引き払い、施設に入所すれば良いだけです。
空き家の増加が全国的に問題となっておりますが、その原因の一つには高齢化による介護施設の利用増加があるようです。

6 前編では、お金に関わる点を中心に、分析を行いました。
後編では、法的問題(離婚、相続など)に関係して、分析をしていきたいと思います。