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弁護士 鍛冶 孝亮
2016.03.15

家計と監査

1 ファイナンシャルプランナーという資格名を聞いたことがある人も多いと思います。
  金融資産、税金、保険、不動産、相続などの分野で、資産運用のサポートをするパートナーのことです。
  弁護士の仕事をしていると、お金に関わる問題が多く、ファイナンシャルプランナー(FP)の知識は弁護士としての仕事にも役に立つと考え、私は、3級FP技能検定、2級FP技能検定の試験を受け合格し、日本FP協会が認定するAFP資格を有するに至りました。

2 この資格を取得するにあたり、いろいろな知識を得ることができ、例えば、借金問題の事件で、相当の収入があるはずなのに、家計がマイナスの場合、適切な法的手続を選択するだけでなく、何が赤字の原因なのかを分析し、法的手続が終了した後も、再び多重債務状態に陥らないようにアドバイスもしています。

3 今回は夫婦間における家計のことを書いていきたいと思います。
  結婚したら、家計は妻に任せるという夫婦は多いと思います。
  夫が給料をもらってきたら、妻がすべて管理し、夫が自由に使えるお金は小遣いの範囲内ということも珍しくありません。
  夫婦が共働きの場合でも、家計を一元化したほうが、収入や支出、貯蓄などの内容が把握しやすくなるというメリットがあると思います。
  一方、別々に管理した場合、お互いの支出状況を把握していないのであれば、それぞれが自由にお金を使ってしまい、お金が貯まらないというデメリットがあると思います。

4 ただし、夫婦のどちらか一方が家計を管理している場合であっても、家計を任せている方が無頓着であれば、いろいろな問題が出てきます。
  弁護士としてよく聞く話でいえば、家計を任されていた妻が、夫の収入だけではやり繰りができず、キャッシングをしたり、クレジットカードでショッピングをして、夫が知らぬ間に多重債務状態に陥っていることや、夫婦関係が悪くなり、妻から離婚と財産分与を求められた夫が、預貯金や保険関係をまったく把握していない場合などです。
  これまで妻に家計をすべて任して一切関与していなかったため、妻が出て行った後、毎月どれくらいの生活費がかかるのか、どこにどれくらいの支払をしなければならないのかわからず、夫は途方に暮れるというのは、珍しい話でありません。

5 お金を稼ぐことは、大変なことであることは言うまでもありません。
  大変な思いをして稼いだお金だからこそ、貯めることや使うことについても、稼ぐことと同じくらい夫婦間で真剣に考えていく必要があると思います。
  夫婦のライフステージで考えると、①出産、②自宅の購入、③子どもの高校卒業までの費用、④子どもが大学などに進学した場合の費用、⑤老後資金などの各場面でお金がかかってきますので、どのように貯め、どのように使うのかを計画的に考える必要があります。
  家計を任せている側も、まかせっきりにするのではなく、定期的にお金がどのように使われているのか、どれくらい貯まっているのかについての監査をすることも必要なのではないかと思います。
  国の場合には、会計監査院という機関が、会計を監査し会計経理が正しく行われるように監督していますし、小学校のPTAや町内会の会計の場面でも、監査役が選ばれて監査報告はなされているはずです。
  このように、お金が適切に使われているのかをチェックするという監査はとても重要なことです。
  家計を管理している側としても、定期的に監査が入るとなると家計の管理に緊張感が増しますし、夫婦間でお金の使い方や貯め方を話合う良い機会になると思います。
  監査する際は、使いすぎの部分がないかどうか(外食が多いので少し控えるようにする)、本当に必要な支出なのか(保険料の支出が多いときには保険の見直しをする)、必要なお金が貯まっているのか(住宅購入の頭金が貯まっているのか、高校入学資金がたまっているのか)などの視点から行うのが有効だと思います。

6 世の中には様々な夫婦がいて、それぞれの家庭で家計の管理方法は違いますが、一つの考えとして、管理していない側から監査という方法を紹介しました。
  また、機会があれば、FPの知識を生かしたコラムを書いていこうと思います。