弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 荒井 剛
2016.02.24

民法上の「未成年」であることの意味は?

民法上、「未成年」であることの意味を持ってくるのは、未成年者の子どもの権利や親権が関わってくる場面です。

たとえば、未成年者がいる両親が離婚することになった場合、いずれの親が未成年者の親権者になるかを指定する必要があります。もし民法が現在の「20歳で成年」から「18歳で成年」と改正された場合には、18歳、19歳の子がいる両親が離婚する場合には親権者の指定をしなくてよくなるということになります。また、子が幼いうちに離婚するときに取り決められる養育費の支払終期も子が18歳に達するまでということに変わってくるかもしれません。



しかし、もっとも意味を持ってくるのは未成年者が一人で契約をする場面です。

未成年者が一人で契約をする場合には、原則として、親権者の同意が必要であり、この同意がなかった場合には後で未成年者側からこの契約を取り消すことができるという規定があります。未成年者の場合、社会人経験も乏しく、社会の荒波にもまれていないため、言葉巧みなセールスや誘惑に引っかかり、未成年者にとってかなり不利益な内容の契約をさせられたりすることがあるため、そのような未成年者を保護しようということです。ここで注意しないといけないのは、親権者の同意なく未成年者が単独で契約をしたとしてもその契約がただちに無効になるわけではなく、あくまで後からこれを取り消すことができるというものです。

また、契約締結時に未成年者であっても時間が経過し「成年」を迎えると、未成年を理由に当時の契約を取り消すことはできなくなります。実際、世の中では未成年者が親権者の同意なく、契約をし、働いたりしていることがあるかと思います。契約自体は無効ではなく、あくまで取り消すことができるというものですから、仮に未成年者が親に内緒で働いている場合には、親権者側が契約内容に気が付きません。もし契約内容が未成年者にとって明らかに不利益であり、法律上、未成年を理由に契約を取り消してその子を助けることができたとしても親がそもそも子どもが契約したという事自体に気が付かなければ助けることもできません。



もし、民法の未成年を20歳から18歳未満と改正するとなると本来助けられるはずのケースがそれだけ減ってしまうということを意味することになります。

したがって、公職選挙法の改正により18歳から選挙に行くことが可能になったとしても、それはあくまで選挙だけの問題であって、民法上の「成年」は20歳のままですし、公職選挙法の改正にあわせて民法も「成年」を18歳まで下げるべきだという単純な話ではなく、より慎重な議論が必要なのではないかと思います。