弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 荒井 剛
2016.01.27

未成年って何歳なの?

未成年は何歳ですかと聞かれるとおそらく「20歳未満」と答えると思います。

世界を見れば18歳を基準にしている国が多いようですが、日本では20歳が一つの基準となっていますし、日本の民法では20歳で成年になると規定されております。

では、成年と未成年とでは何が違うのでしょうか、と聞かれると、成人式でマスコミに応える多くの新成人と同様、お酒が飲めるようになったり、タバコを吸えたり、あるいは選挙へ投票に行くことができるようになると答えるのではないかと思います。馬券も買えるようになる!という人もいるでしょう。

結論はそのとおりなのですが、この点は少しややこしく、実は、法律によって違ってくることがあります。民法とは別に未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法、公職選挙法や競馬法でそれぞれ20歳未満はだめだよと規定されているため、いずれも結果的に20歳にならないとだめだということになります。しかし、これらの法律を改正して、民法と違う決め方をすることも可能なのです。ちなみに、競馬については2004年まで、20歳以上であっても学生の場合には馬券を購入することができないとされており現在より厳しく制限されていました。逆に、選挙については、最近、公職選挙法が改正され、次の参議院選挙からは18歳でも投票することが可能になりました。ちなみに、裁判員法では、裁判員候補者は「衆議院選挙の選挙権を有する者」から選ばれると規定されております。したがって、今回の公職選挙法の改正によって選挙権を有する者が20歳から18歳に引下げられたことにより18歳から20歳未満の者も裁判員候補者になるのだろうなと思っていたところ、わざわざ「年齢18歳以上満20年未満の者については、当分の間」、裁判員候補者に該当しないという例外規定(附則)をもうけております。

このように法律によって20歳が18歳になったり、あるいは18歳でも例外をもうけるのであればややこしいため、いっそのこと民法の規定だけを18歳で成年にするというように改正した上、未成年は18歳未満と統一すればいいのではないかという意見もあります。実際、そのような改正に向けた動きもあったようですが、飲酒・喫煙については健康上の問題で20歳という基準は維持されるべきであるということで今のところは個別の法律によって対応していくということになっております。

また、少し話は変わりますが、万引きをしたり、人を怪我させたりするなど罪を犯すと普通は刑法が適用されることになりますが、罪を犯した者が「少年」の場合には少年法が適用されることになります。では「少年」イコール「未成年」なのでしょうか。少年法では、「少年」とは20歳未満の者と定義されているため、結果的に「少年」も「未成年」も現在のところ20歳未満ということで一致することになります。ただ、理屈の上では、民法上、「20歳で成年」という規定を維持しつつ、少年法でいう「少年」を「18歳未満」と定義を変更することも可能といえば可能です。

このように民法では20歳で成年になると規定されてはいますが、個別の法律ごとに年齢規制が設けられているのであれば、民法の規定の意味はどこにあるのでしょうか。

(続く)