弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 荒井 剛
2013.10.07

改正ストーカー規制法について

改正ストーカー規制法が成立し、本年7月からは一部が、また、残りが10月から施行されることになりました。改正点のポイントは次の通りです。



「つきまとい行為」の中に電子メールの送信が含まれることになったこと、そして、被害者の居所のみならず、加害者の居所を管轄する公安委員会、警察本部長を通じて警告を発してもらうことができるようになったことです。



ストーカー規制法は平成12年に成立しました。そのときは電子メールは規制対象から外れておりましたが、メールを除く理由がないとの批判が強く、この度、規制対象に含めることになりました。また、これまでは被害者の住所地等でしか警告を発してもらうことができませんでした。これだと相手に被害者の住所地が特定されてしまうという危険があったため、今回の改正により、加害者の居所でも警告を発してもらうことが可能になりました。



ところで、「電子メール」でのつきまとい行為も規制対象にしましたが、FacebookやTwitterなどといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の類のものは含まれていません。



すべての法律が時代を先回りして成立されるわけではありません。むしろ、社会的に耳目を集めた事件が発生したことをきっかけに制定されることが多いといえます。このストーカー規制法も平成11年に発生した「桶川ストーカー殺人事件」を契機にその翌年に制定されました。



インターネット及び携帯電話の普及により電子メールは当然の通信手段の一つとなっております。そんななか、電子メールでのつきまとい行為が「ストーカー」行為の対象から外れていたこと自体、問題がありましたが、今回の改正はあまりに遅かったといえるでしょう。



ただ、今回の改正によっても依然としてSNSは対象になっておりません。これらは通常、不特定多数の者と情報を共有することを前提にしているからだと思いますが、SNSを利用して、特定の個人に対して、個別のメッセージを送ることも可能である以上、SNSを特別に除外する理由はないのではないかと思いますので、近い将来、SNSも規制対象になるであろうとは思いますね。



では、いわゆるLINE(ライン)による場合はどうでしょうか。



最近は、友人のメールアドレスは知らないもののラインのIDは知っているという位、ラインが普及していると聞きます。このラインによるメッセージのやりとりは、「電子メール」に該当するのでしょうか。これはストーカー規制法でいう「電子メール」にラインを利用した場合は含まれるのかという問題です。



一般に、「電子メール」という単語が法律の中に出てくる場合、「(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(略して「特電法」)に規定する電子メールをいう。)」等と記載されているケースが多いです。ちなみに、この特電法にいう「電子メール」の定義によれば結論としてLINEは含まれないことになると思います。なぜ、含まれないことになるのかは説明が長くなるので省略します。



しかし、実はストーカー規制法には、「電子メール」の定義が一切ございません。また、特電法の定義に従うという記載もありません。そうすると、含むとも含まれないとも言えます。



もともと、ストーカー規制法は、恋愛感情等の個人的感情をあらゆる手段でしつように表現しようとする、いわゆる「つきまとい行為」を規制しようとするものであります。LINEを利用したメッセージが電子メールと同じ機能を果たしている以上、ストーカー規制法上の「電子メール」には含まれると解釈する余地があるように思えます。



ただ、疑義が生じること自体、罪刑法定主義の観点からは好ましくないので法律によって明確にしてもらいたいと思いますね。



同じ単語を使用していても法律によってその意味が違うということはよくあるんです!