弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 鍛冶 孝亮
2012.04.03

少年事件について(1)

平成24年3月17日(土)、帯広のとかちプラザで行われた全面的国選付添人制度の実現を目指すシンポジウムに出席してきました。

このシンポジウムでは、少年のえん罪事件に関する弁護士の講演や、いじめ・虐待・少年犯罪などを題材にした東京弁護士会主催の劇を収録したDVDの上映がなされ、市民の方々も数多く参加されていました。
今回は、このシンポジウムのテーマ(全面的国選付添人制度の実現)に関するコラムを書きたいと思います。

「付添人」という言葉を初めて聞く方のために、意味や制度の説明をします。
「付添人」を簡単に説明すると、少年事件(少年が起こした犯罪事件)で、刑事事件の弁護人のような活動をする者です。
なお、少年事件の対象となる「少年」には女性も含まれます。

成人が事件を起こして刑事裁判を受けることになった場合、弁護人は被告人の適正な刑事手続を受ける権利を擁護するために、被告人は無罪であると争ったり、本人が犯罪行為を認めていたとしても、「被告人は反省している」、「被害弁償が済み、被害者が被告人を許している」などの事情を述べ、この事情を量刑判断にあたり考慮してほしいといった主張をしていきます。

これに対し、少年が事件を起こした場合、成人と異なり、通常は刑事裁判を受けることにはなりません(※1)。
少年には、刑罰を与えて矯正するという手段ではなく、教育的手段によってその非行性を矯正し、更生を図ることを目的とした少年法に基づく手続が進められていくことになります(※2)。

もっとも、少年事件でも、成人と同様の活動(無実を主張するなど)をする必要はありますし、さらに、少年の再非行を防止するために、環境調整(家族との関係を調整、就職先の確保等)など、成人の刑事事件よりも踏み込んだ活動をしなければなりません。

なお、「成人に比べて少年の処分は甘い」という報道がされることもありますが、成人であれば、事案の内容が軽微であり、起訴されず釈放されるような事件であっても、少年の場合、少年に再非行のおそれが認められるときなどには、少年院送致という重たい処分が下される可能性があり、その報道内容は必ずしも正しいとはいえないと考えます。

先ほど紹介したとおり、少年事件では、成人の刑事事件に比べて、様々な活動をしなければなりませんが、当然に付添人が選任されるわけではありません。

少年事件では、捜査機関から家庭裁判所に事件が移ると、法律上、それまで活動していた弁護人が、直ちに付添人として活動ができるという制度になっていません。
そのため、付添人のサポートを受けられないまま(再非行防止のための環境整備がなされない状態)で、少年審判を受ける少年もいるわけです。

少年事件において、国が弁護士費用を支払って付添人を選任する「国選付添人」の制度が完備されていないのは、成人の刑事事件に比べて不公平(成人の場合、「国選弁護人」制度はほぼ完備されている)であり、付添人選任の必要性の点から不合理(少年事件では再非行防止のために様々な活動をしなければならない)ではないのかという問題点があるわけです。

今回は、制度や問題点について説明を行いましたが、次回は少年事件の特色や付添人選任の必要性などについてさらに踏み込んで書いていきます。

成人の場合、検察官は事件を起訴又は不起訴にするかどうかを決定する権限をもっていて、不起訴処分がなされた場合には、刑事裁判にはならず釈放されます。
これに対して、少年の場合、検察官には処分を選択する権限はなく、すべての事件を家庭裁判所に送らなければなりません。
少年は、家庭裁判所に事件が送られた後、少年審判を受けることになります。
ただし、一定の重たい犯罪を行った少年については、家庭裁判所から検察官に事件送致され、検察官が起訴することで、刑事事件を受ける場合もあります。
 
※1 成人の場合、検察官は事件を起訴又は不起訴にするかどうかを決定する権限をもっていて、不起訴処分がなされた場合には、刑事裁判にはならず釈放されます。
これに対して、少年の場合、検察官には処分を選択する権限はなく、すべての事件を家庭裁判所に送らなければなりません。
少年は、家庭裁判所に事件が送られた後、少年審判を受けることになります。
ただし、一定の重たい犯罪を行った少年については、家庭裁判所から検察官に事件送致され、検察官が起訴することで、刑事事件を受ける場合もあります。
※2 「少年は、精神的に未熟、不安定で、環境の影響を受けやすく、非行を犯した場合にも必ずしも深い犯罪性を持たないものが多く、これを成人と同様に非難し、その責任を追及することは適当ではないということと、少年は、たとえ罪を犯した場合でも人格の発展途上にあるものとして、成人に比べればなお豊かな教育的可能性を持っているのであるから、指導や教育によって再非行を防止すれば、社会にとっても将来にわたって犯罪者が少なくなるという意味で利益である」という考えに基づいているとされています(司法研修所『少年審判手続について』より)。