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弁護士 鍛冶 孝亮
2022.03.16

さよならスーパーおおぞら

1 2022年3月11日、釧路と札幌を結ぶ特急おおぞらの気動車キハ283系の最終運行日でした。型番だけではよくわからないと思いますが、青い車両といえばお分かりだと思います。
  1997年3月から運行を開始し約25年の歴史に幕を閉じました。
  多くの鉄道ファンが釧路駅に集まり別れを惜しんだ様子が新聞やテレビで見ました。

2 1997年当時の名称は「スーパーおおぞら」です。2020年に「特急おおぞら」に改名されましたが、やはりスーパーおおぞらと呼びたくなります。
  青い車両が特徴的で、車両の電光掲示板にはタンチョウのアニメーションが表示されます。
  札幌と釧路湿原などの広大な自然がある道東を繋ぐ特急として、ふさわしいデザインと感じました。
  スーパーおおぞらは、振り子特急とも呼ばれています。
  車両にカーブで車体を傾ける装置などを備えており、カーブで減速せずに最高速度を維持することで、札幌と釧路間の所要時間は4時間を切ることができました。
ただ振り子装置により、酔ってしまう人もいたようです。私は乗り物酔いはしないほうなので小説などを読んでいても平気なのですが、私の妻も振り子特急は酔うから苦手だといっていました。
  しかし、2011年に起きた石勝線脱線事故を契機に、JR北海道が高速化路線から安全な速度での運行に転換したことで、従来の速度では運行しなくなりました。
  また長年使用きたことで車体の損傷が進んだことから、新型の気動車に交代が進んでいました。
  ここ数年、青い車両ではなく、白い車両(キハ261系というようです)を良く見るようになったのもこの理由でした。

3 1997年というと私が中学生のときの話になります。
中学、高校とスーパーおおぞらに乗車する機会はなかったのですが、18歳から札幌へ行き、大学、法科大学院、司法試験合格まで約10年間札幌にいたこともあり、帰省するたびに数えきれないくらい乗りました。
スーパーおおぞらの思い出は、2004年8月22日に乗車したとき話です。
この日は、北海道の駒大苫小牧が甲子園で東北以北の高校として初優勝した日でした。
試合中、スーパーおおぞらに乗車していたのですが、そのとき、夕張と新得間を走行していました。その区間はトンネルも多く、携帯電話の電波状況も良くありません。
また当時はスマートフォンもなかったため、ガラケーではすぐに情報を得ることもできませんでした。
そのとき、電光掲示板に駒大苫小牧の優勝の報が流れました。そのとき車両から歓声が上がりました。乗車していたみんなが試合結果を気にしており、心から祝福していると感じた瞬間でした。
 
4 釧路から札幌へ行く交通手段としては、飛行機以外にはスーパーおおぞらだと思っていたところ、道東自動車道が整備され、自動車で行きやすくなりました。
  道東自動車道が延伸してからは、私はJRを利用せず自動車で行くようになりました。
  その頃になると所要時間はJRと自動車であまり変わらなくなってきましたし、自動車の方が札幌での移動に便利であることや帰りの運行時間を気にすることがないからです。
  そして、2017年、スーパーおおぞらの車内販売が中止になりました。
  車内販売があるときにはよく池田町で積み込むバナナ饅頭を購入していました。出来立ての温かいバナナ饅頭を食べられるのはこの車内販売だけだと思います。



車内販売が終了した話を聞いて寂しさを感じました。

5 このように関わり深い車両がなくなってしまうのは感慨深いものがあります。
  心残りなのは、汽車に興味がある息子(4歳)とこの車両に乗れなかったことでした。
  私の実家は、線路沿いにあり窓から特急を見ることができます。息子は、青い車両がカッコよいと感じているようで、いつも乗りたいと言っていました。
  なかなか特急に乗る機会もなく、青い車両も引退してしまい一度でよかったので乗せてあげたかったと後悔しています。
  夏、白糠町の西庶路駅に息子と汽車を見に行ったときの話です。
  ちょうどスーパーおおぞらが駅を通過しようとしていました。運転手の方が私たちに気付いたので通過するときに汽笛を鳴らしてくれ、息子は大喜びしていました。
  青空の中を走るスーパーおおぞらの姿は、たとえ引退しても記憶からなくなることはありません。