弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 鍛冶 孝亮
2021.11.10

他のチームへの応援論

1 現在のプロ野球は、クライマックスシリーズが導入され、ペナントレースの3位のチームも日本シリーズに進出できる可能性があります。
  クライマックスシリーズの導入前は、優勝チームが決まるとその後の試合は消化試合となり、主力メンバーは試合に出なくなる一方、2軍の選手が1軍の試合に出て、来シーズンへの調整を図るようになっていたかと思います。
  しかし、クライマックスシリーズが導入されてからは、優勝できなくても2位又は3位になれば日本シリーズの行く可能性もありますので、3位までの順位が確定するため熱い戦いが繰り広げられファンも最後の最後まで熱を入れて応援をするようになりました。
  特に今年は、セリーグとパリーグの優勝もペナントレースの終了まで後数試合というところまで決まらなかったということもあり、非常に盛り上がったシーズンになったと思います。

2 私が応援している東京ヤクルトスワローズは、2年連続最下位から見事優勝しました。パリーグの優勝チームのオリックス・バファローズも昨年最下位からの優勝です。
  セリーグとパリーグともに、前年最下位のチームが下克上優勝したことは史上初の快挙とのことです。
  ただし、今回は東京ヤクルトスワローズの優勝の話ではなく、ペナントレース終盤での不思議な現象について書いていきます。

3 今年のセリーグでは、スワローズとタイガースが終盤まで優勝を争っていました。そして、10月になってから大型連敗があったジャイアンツとカープが3位を争っていました。
  そのような状況だと自分が応援しているチームを応援することはもちろんのこと、自分が応援しているチームの順位に関係する他のチームも応援するようになります。
  例えば、タイガースファンが、スワローズと対戦するドラゴンズを応援する。カープファンが、ジャイアンツと対戦するベイスターズを応援するなどです。
今は、SNSで、ハッシュタグ○○(応援しているチーム)で検索すると、リアルタイムで全国のファンの応援コメントを見ることができます。
  普段は、同じチームをファンだけで盛り上がっていますが、このときだけは他のチームのファンも必死に応援するコメントを見かけるようになります。
何かには、球場まで足を運んで自分が応援しているチームではないチームを応援する人もいました。
この時ばかりは、他のチームのファンと不思議な一体感が生まれます。
  もっとも、アンチ巨人の気質があるとされるタイガースファンなどは素直にジャイアンツを応援することができないということもあるようです。
  アンチ巨人は、自分の応援するチームが負けてもジャイアンツが負けてくれればそれだけでも良いと思っている人も多く、「ジャイアンツには勝ってほしいけど応援はしたくない」という妙なジレンマに悩む人もいます。

4 このように「敵の敵は味方」の同盟論で、他チームの応援をすることはあるかもしれませんが、それは一時的に過ぎません。
  自分が応援しているチームの敵と対戦していたチームが、いざ自分が応援するチームと対戦するとなると当たり前ですが、自分が応援しているチームの勝利を願うことになります。
  一時的には利害が共通していたとしても、共通する利害がなくなければ元の敵同士になります。
  同じ舞台で戦っている以上、「昨日の敵は今日の友」、「昨日の友は今日の敵」を繰り返すだけで、「敵の敵は味方」の同盟は、結局一時的なものに過ぎません。
  先日行われた衆議院選挙の結果を見ても、打倒与党を掲げて主義主張も違う野党同士が共闘した結果、支持者が離れて選挙前よりも議席を減らした政党があり、「敵の敵は味方」の同盟は簡単ではないと思った人は多いのではないかでしょうか。
  プロ野球チームの応援の場面で「敵の敵は味方」として他のチームを応援するくらいの話であれば何か影響を与えるという話ではありませんが、戦国時代の国盗りの場面であれば、「敵の敵は味方」として安易に同盟を結ぶと国が亡ぶということもあると思います。

5 普段の生活をしていると「敵の敵は味方」の同盟を結ぶ機会はありませんが、例えばトランプゲームの大富豪の場面では、大富豪を蹴落とすために他の人と協力していくこともあります。ほかにテレビゲームの話になりますが、以前紹介したこともある桃鉄(桃太郎電鉄)というボードゲームでも順位が1位のプレイヤーを引き下ろすため、2位以下のプレイヤー同士で同盟を組むということもあります。
  大富豪でも桃鉄でも、協力しているときは良いのですが、いざ目的を達成した後は同盟が決裂し、これまでの関係はなんだったのかというくらいの争いになることもあります。
  同盟関係にあるときから、そのような争いに備えて戦略を組むこともあります。
  ゲームであっても利害が生じる場面では、人は協力したり裏切ったりするものであるということが実感できます。
  法的なトラブルの場面でも、複数の当事者が存在し、それぞれに利害が発生することは珍しくありません。
  この点は別な機会に事例を踏まえながら紹介をしていきたいと考えていますが、これまで紹介したように、「敵の敵は味方」の同盟関係は強い結束関係にあるわけではないため、慎重に進めていかなければならないと思っています。