弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 荒井 剛
2021.10.27

過剰な手数料

インターネット、スマホの普及により今やネットバンキングが当たり前になってきました。スマホのアプリから簡単に口座の残高を確認したり、振込もできます。また、過去数か月分の取引明細をネットで確認することもできます。

一方、環境保全の観点から、書類のペーパーレス化が進み、これまで毎月送付されてきた紙ベースでの取引明細が送付されなくなってきました。そのため、毎月の取引明細をネットからいちいちダウンロードしておかなければ、過去の取引明細がわからなくなってしまいかねません。そんなときは、金融機関に対し、過去の取引明細の発行を求めれば、紙ベースでの取引明細を発行してもらうことができます。

弁護士業務との関係でいけば、相続事件でよく亡くなった方名義の過去の口座取引明細の発行を求めることがあります。過去の取引明細を発行してもらう際、金融機関に対し、一定の手数料を支払うことになります。しかし、この手数料は、金融機関によってバラバラです。

2021年10月現在の情報を基に少し調査してみたところ、手数料のルールは多様でした。たとえば、1冊の通帳ごとに520円と設定している金融機関もあれば、1口座につき990円と設定している金融機関もありました。この決め方によれば、取引明細を求める期間は関係がなく、あくまで通帳の冊数や口座の数が基準になります。

一方、対象期間によって手数料が設定されている金融機関もあります。これが主流です。
具体的には、1年ごとに〇〇円、あるいは1月毎に○○円が発生するという場合です。対象期間が5年以内であれば、1年ごとに1100円の手数料が発生し、対象期間が5年を超える場合には、1月ごとに550円が加算されるという場合もありました。

ざっと調査した感じでは1月毎に手数料が発生するのがというのが多いです。

その場合の1月あたりの手数料も幅があります。大体、110円から550円の範囲内に収まっていますが、1月ごとに550円と設定しているところが最も多いという印象です。

先日、地元の信用金庫に取引明細の発行を求めたらまさに一月毎に550円かかると指摘されました。

しかし、そもそも、1月毎に550円というのは、高すぎませんか。

口座が複数あれば、口座毎に、かつ、一月ずつの手数料がどんどん加算されていきます。
さらに、その口座でどれだけの取引回数があったかどうかは関係がありません。つまり、極端な話、口座としては存在するけど、過去5年間、まったく取引がなかったとしても、過去5年間の取引明細の発行を求めるとなると、何らの取引もなかったにも関わらず、1口座あたり33、000円(550円*60ヵ月)の手数料を支払う必要があることになります。10年間、照会したいとなれば、その倍の66、000円になりますし、別の口座もあり、その口座も照会したいとなれば、あっという間に手数料だけで10万円以上になります。

今回、調査してわかりましたが、取引明細の発行手数料がそもそも明示されていない金融機関があります。メガバングは、金額はそれぞれ異なるものの、取引明細の発行手数料は明示されていました。しかし、それ以外の金融機関の一部では、振込手数料や通帳の再発行手数料は明示されているものの、取引明細の発行手数料が明示されていません。

過去の取引履歴を探し出し、紙ベースにして印刷する事務作業にかかる費用として一定の手数料が発生することは理解できます。しかし、金融機関の場合、犯罪による収益の移転防止に関する法律により、取引記録を7年間保存しなければならないとされています(法7条3項)。したがって、保存義務の対象期間内であれば、データで当然管理しているはずですし、紙ベースに印刷するのもそこまで大変な作業なのかと思います。しかも、1月毎に手数料を加算させるほど1月毎の利用明細を特定させる作業が必要なのか疑わしいです。したがって、1月毎に手数料を定めるのも行き過ぎではないかと思います。

そもそも、金融機関は、どのような根拠で手数料を請求できるのでしょうか。

必ずしもこれが根拠というわけではないですが、参考までに、個人情報保護法33条1項によると、個人情報取扱事業者が個人データの開示を求められた場合には手数料を徴収することが出来ると規定されています。したがって、金融機関が「手数料」を徴収すること自体は正当化されるかと思います。

しかし、一方で、同法33条2項では、「手数料を徴収する場合は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、その手数料の額を定めなければならない。」と規定しています。

つまり、手数料の額は、あくまで実費を勘案して合理的であると認められる範囲に限定されると考えていいと思われます。

取引明細の発行手数料として1月あたり550円を徴収するのは、実費を勘案しても合理的であると認められる範囲を超えているのではないかと思うわけです。これを金融機関にぶつけて実際手数料の金額を争ったことはないですし、全国でも、この手の手数料が正面きって争われたことはまだないかもしれません。今後、これが問題になるかもしれません。

手数料が発生すること自体は理解できますが、せめて1口座あたり定額にするか、1年あたり数百円にとどめる等、早急に改正していただきたいところです。