弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 荒井 剛
2021.03.24

「本人でないとダメです!」~やや過剰ではないでしょうか~

何をやるにしても何を行うにしても本人であることの確認が求められる今日この頃です。
私たち弁護士も一定の金銭を預かる場合や不動産取引に関わる事件を扱う場合などは、マネーロンダリング防止の観点から必ず本人確認をするよう日弁連から要請されています。

本人確認が求められるのは、弁護士業界だけに限った話ではなく、金融機関の窓口で預金を払い出そうとする場合や、部屋を借りるために賃貸借契約を締結する場合、あるいは携帯電話を解約する場合にも、当然、本人であることの確認を求められるでしょう。

本人になりすましてお金が払い出されるのを防いだり、偽名を使って賃貸物件を借りられるのを防いだり、あるいは、本人の意思に反して勝手に携帯電話が解約されるのを防ぐ必要があるため、本人確認自体は必要ですし、本人であることを確認することで、これらの行為が本人の意思に反しないかを確認する意味があります。

しかし、本人の意思が確認できない場合もあります。認知症などで本人に財産管理能力がない場合です。その場合には、たとえ親族であったとしても本人の意思を確認できないという理由でお金を下ろすことができませんし、携帯電話の解約もできません。治療費のため緊急におろしたいといっても窓口で預金の払い出しを受けることはできません。本人が携帯電話を使えない状況になっているにも関わらず、家族が本人に代わって契約を解除することができず、携帯電話の基本料金だけが毎月引き落とされる危険があります。そのような事態に対処するため、法律的には、本人に代わって本人の財産管理を行うための「成年後見人」を裁判所に選任してもらうという方法があります。弁護士、司法書士等の第三者が成年後見人に選任されることもありますが、依然として親族が成年後見人に選任されるほうが多いです。成年後見人が選任された場合には、金融機関も払い出しに応じます。しかし、成年後見手続きをよく知らない、あるいは知っていたとしても申立てをする時間的、経済的余裕もないという場合もあります。少なくとも明らかに本人の利益に合致するような場合には成年後見人が選任されていなかったとしても預金の払い出しを認めてほしいという要請が強くありました。

その要請を受けてか、今年の2月、全国銀行協会は、「高齢者との金融取引、親族との代理等に関する考え方」を発表しました。認知判断能力を喪失する以前であれば本人が支払っていたであろう本人の医療費等の支払い手続きを親族等が代わりにする行為など、本人の利益に適合することが明らかである場合に限り、依頼に応じることが考えられるという指針が示されました。したがって、成年後見人が選任されていなくても親族による払い出しに応じる場合があることを全国銀行協会が認めたというわけです。あくまで極めて限定的な場合に限られるとは思いますが、成年後見人を選任しないと一切の払い出しを認めないという硬直的な運用が少しは改善されることになるかと思います。

ところで、私自身、家庭裁判所から選任され、何人かの方の成年後見人をつとめております。成年後見人に選任されますと、後見登記もされますし、成年後見登記に関する証明書も発行されます。成年後見人は、本人に代わって財産管理を行うことになりますので、本人に代わって預金の管理、払い出し、支払い、各種契約の締結も行います。

ただ、私が成年後見人として、本人が施設に入居するための入居契約書に署名しようとした際、施設の方から、本人欄は、あくまで本人に署名してもらってくださいと言われ、びっくりしたことがあります。最近でこそ成年後見制度が浸透してきたため、さすがに本人の署名を求められることはなくなりました。

しかし、いまだに、成年後見人として預金の払い出しをしようとすると金融機関から、書類の記入は、必ず成年後見人である私がするようにと言われています。いやいやいや、成年後見人であることが確認できており、成年後見人の意思にも反していない以上、弁護士事務所の事務員が、私の指示を受けて書類に必要事項を記入しても何も問題ないのではないかと思います。署名だけはいいにしても後見人の住所のほか、本人の氏名・住所等などを複数枚にわたり記入するように求められるため事務員さんに代筆してもらいたいと思っているのですが、なぜか金融機関は頑なに認めてくれません。さすがにそれはいいのではないかと思うのです・・・・。

さらに、先日、成年後見人として本人と携帯電話会社との間の通信契約を解除しようとしたときの話です。事前に、裁判所から私が成年後見人に選任されたことがわかる資料やどのような経緯で契約解除を求めることになったのかといった理由書も添付した上で書類を送付したところ、携帯電話会社から、契約解除の意思確認の電話がありました。解除の意思は間違いないのかという意味だと思うのですが、事前に詳細な書類を送付している以上、解除意思があることは当然であり、何をあらためて確認する必要があるのかと思います。どうしても電話で話をしないと進められないと言われました。でも聞かれたのは本人の氏名や住所、そして、なぜ解約を求めるのかといった事項です。最初から全部伝えて送っている内容であり、あらためて確認を求められる事項でもないだろうに、と思いながら、回答しました。先方の確認作業を減らすためにわざわざ書類等を揃えて送付しているのに・・・・。確認作業マニュアルに従って対応せざるを得ない業者側の事情もわかりますが、それでも「本人でないとダメ」がやや過剰ではないでしょうか。もう少し柔軟な運用になるよう改善していただきたいものです。