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弁護士 鍛冶 孝亮
2020.11.11

なくすべきハロウィンイベント

1 一昔前であれば、10月31日は何の日かと問われても首をかしげる人が多かったのではないかと思います。
現在では、「ハロウィン」と答えることができる人(特に子ども)が増えてきているのではないでしょうか。
  ハロウィンもクリスマスのように、もともとは外国の行事でしたが、日本国内でも認知される行事になっています。
  個人的にはキリスト教の行事だと思っていたのですが、調べてみたところ、古代ケルト人が起源の祭りのようです。キリスト教とは無関係であり、むしろ異教徒の祭りであるため、容認できないとする立場もあるようです。
  もっとも現在は宗教的側面薄れているとされ、キリスト教徒が多いアメリカでも民間行事として自然に行われています。外国の行事であっても抵抗なく受け入れることができる日本でも広まっています。

2 先日、不当要求防止責任者講習会で、ハロウィンに関することを話す機会がありました。
  事業者や個人事業主は、暴力団などの反社会的勢力から不当要求があった場合、被害を防止するための必要な業務を行う人(不当要求防止責任者)を選任し警察に届け出ることができます。
この不当要求防止責任者は、北海道の場合、暴力追放センターが行う講習を定期的に受ける必要があります。
私は釧路弁護士会の民事介入暴力対策委員会の委員として、釧路や根室地区で行われるこの講習会の講師を務めることが多いです。
先日中標津町で行われた不当要求防止責任者講習会で講師を務めたのですが、冒頭でハロウィンの話をしました。

3 暴力団とハロウィンとの関係でピンときた人もいるかもしれません。
  ニュースや新聞でも報道された神戸市にある山口組総本部で行われているハロウィンのイベントのことについて話をしました。
  山口組は毎年、近所の子どもたちにハロウィンのお菓子配りをするイベントを行っていました。
組事務所の入り口をハロウィン仕様(お化けやジャックオーランタンで飾り付けるなど)にし、組員も仮装しているなど大掛かりなものです。
インターネットで検索したら出てくる画像では、組員が笑顔で子どもたちにお菓子を配っています。
配るお菓子もかなり豪華なもので、ここ数年では保護者にも向けてなのか洗剤なども袋の中に入っているようです。
山口組がこのようなイベントを行うようになったきっかけは、山口組総本部であることをわからずに、お菓子をねだりに行った子どもがいたからだと言われているようですが本当かどうかはわかりません。
2013年頃から行われたとされるイベントには、年を重ねるごとに多くの子どもたちが訪れるようになりました。

4 講習会では、暴力団も地域住民の社会奉仕をしているという話をしたわけでありません。このようなイベントは非常に危険なものであることを伝えました。
そもそも、配られている豪華なお菓子の購入資金はどこからきているのでしょうか。覚醒剤などの違法薬物の取引、特殊詐欺など犯罪行為で得た利益などがその原資になっていることは容易に想像できます。
また、いくらイベントで賑わっている場所だとしても、そこは暴力団の組事務所です。5年前に山口組が分裂したことで人が亡くなる抗争も発生しています。対立組織が、無防備なイベント中に一般人も巻き込んでの襲撃を行うことも十分考えられます。
また、ハロウィンのイベントは子どもが対象です。子どもからすれば、暴力団組員を豪華なお菓子をくれる大人と認識し、暴力団に親しみを覚え、将来組員となることについて抵抗がなくなるかもしれません。
このようなことを考えると、自分の子どもが組事務所へお菓子を行こうとしても必ず止めるはずです。

5 このような問題があることから、山口組のハロウィンイベントは、昨年から中止となっています。
  中止となった背景には、山口組分裂による対立抗争が激化したことで、暴力団対策法に基づいて組事務所の使用が禁止されたからです。
  そして、今年の10月には、兵庫県で、暴力団組員が、18歳未満の子どもに金品を渡すこと、18歳未満を組事務所に出入りさせること、支配下に置く目的(組員に勧誘するなど)で18歳未満に連絡することを禁ずる内容の暴力団排除条例が改正されました。
  2018年を最後に、山口組総本部でハロウィンイベントが開かれることはないのではないかと思います。

6 ハロウィンというイベントでさえも、地域住民を懐柔する目的で暴力団は利用していること、暴力団と関わることは命の危険があるという点を冒頭で説明した上で、暴力団を含めた反社会的勢力の対策に関する講演を行いました。
  ハロウィンイベントにおけるお菓子を配るだけではなく、暴力団を含めた反社会的勢力は、その正体を仮装し事業者や市民に近寄ってきます。
  ハロウィンの場合、お菓子を渡さなければいたずらをされるだけで済みますが、暴力団の場合にはお金を渡さなければ脅されるかもしれません。
講習会で特に強調した点ですが、うまい話には気を付けること、怪しいと思ったら絶対に一人で判断しないで警察、暴追センター、弁護士に相談し、被害を防ぐようにしてください。