弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 荒井 剛
2020.06.25

Black or White

2020年5月25日、アメリカのミネソタ州ミネアポリス近郊で、白人の警察官が、黒人のジョージ・フロイドさんの頸部を膝で8分近く押さえつけた結果、フロイドさんを死亡させたという事件が発生しました。フロイドさんが「お願いだ、息が出来ない」等と何度も警察官に懇願していたにも関わらず、白人の警察官が膝で執拗に首を押さえ続けた様子を一般人が撮影していました。撮影していた人も警察官に対し、もう十分だろ、膝をどけるようにと、懇願している様子が見受けられます。フロイドさんの意識が亡くなり、動かなくなった後も膝で首を押さえ続けていた様子が映し出された動画は非常にショッキングでした。この動画がSNSを通じて拡散され、世界中で黒人差別に抗議するデモが発生し、地元ミネソタ州やカルフォルニア州のロサンゼルスでは、パトカーを襲撃するなどの暴動にまで発展しています。

1992年のロサンゼルス大暴動を思い出しました。この大暴動は、白人警察官がとある黒人青年(ロドニー・キングさん)を執拗に暴行した事件が発端でした。複数の警察官が黒人青年を囲み、警棒で執拗に殴打する様子がビデオで撮影されていました。警察官らは、ロドニー・キングさんに対する暴行罪で起訴されましたが、何とその白人警察官に対し無罪判決が言い渡され、それに激怒した一般市民が暴徒化したという事件でした。あれから28年、悲しいかな、人種差別問題は何も変わっていないなと感じました。1990年頃、私は父親の仕事の関係でロサンゼルスに住んでいましたが、普通に高校等のトイレの壁面には「くたばれ、ニガー」(黒人を蔑視する表現)等と落書きされていました。もちろん、黒人だけでなくアジア人差別もありましたし、私は、アジア人というだけで本当に意味もなく嫌がらせを受けたことがあります。

差別の多くは、偏見から生じるものだと思います。差別自体を完全に無くすことは無理かもしれませんが、偏見をなくす、偏見を少しでも減らすことが差別の減少につながると思います。肌の色が違えば自分と見た目が違うということに違和感を抱くと思います。違和感を抱くこと自体は自然なことです。違和感にとどまっている限り、それが嫌悪感に発展しない限り、直ちに偏見や差別には結びつきません。ただ、違和感はあくまで普通と違うな、自分と違うなという感覚である以上、時間の経過により違和感が自然と好感に変化することは考え難いです。肌が違っても何も変わらないんだよ、皆同じなんだよと積極的に違和感を解消するための情報を受け続けなければ、黒人だから○○なんだ、あるいはアジア人だから○○なんだといったネガティブな仮説や風説に接したときに、もともと違和感を抱いていたこともあり、安易にその仮説・風説を信じてしまい、偏見が生じ、結果、違和感が嫌悪感に変化してしまう危険が高いのではないかと思います。

今回のジョージ・フロイドさんの事件、もしマイケル・ジャクソンが生きていたらどう思っていたでしょうか。私の年代でマイケル・ジャクソンといえばスーパースターです。人種でいえば、マイケル・ジャクソンは黒人ですが、鼻を何度か整形して細くしたり、顔に白い濃いファンデーションを塗ったりしていましたので、もはや黒人ではなく、白人ではないかと揶揄する人もいました。私もそのように誤解していましたが、それは大きな誤りです。

マイケルは、皮膚の色素メラニンを作る機能に異常を来す「尋常性白斑」という慢性皮膚疾患を患っていました。幼少期から体に白い斑点ができ、それが徐々に顔や体中に広がっていき、それを覆い隠すためにファンデーションを塗っていたということを知りました。

高校時代、私は、マイケルが好きで、アルバム”Dangerous”(1991年)をよく聴いたり、シングルカット曲のPVを観たりしていました。特にアルバム1曲目の”Black or White”の中の、世界中の民族や人種の人とマイケルが一緒にダンスをするシーンや最新CG技術を駆使して次々と顔が変わっていくシーン(下記PV中、3分30秒から4分15秒まで)は印象に残っております。今見ても本当にすごいです。観たことがある方も多いと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=YlkTyb-sGdk (通常バージョン)

”Black or White”は人種をテーマにした曲です。人間は皆同じだよ、君が黒人か白人かは関係ないよという歌詞があります。通常バージョンは4分半程度しかないですが、本来のPVは11分の長尺です。高校生当時、私は、この11分の本来のPVを知りませんでした。テレビでは通常バージョンしか放映されていなかったからためです。マイケルが本当に訴えたかったことは、11分PVに込められていると思います。是非、長いバージョンを観てほしいです。特に6分30分秒過ぎ以降、黒パンサーがスタジオを出て、マイケルに変わってから路上で踊り、窓ガラスを割ったりするシーンを観て戴きたいです。

https://www.youtube.com/watch?v=pTFE8cirkdQ (本来の11分バージョン)

窓ガラスには「ナチス」のマークや白人至上主義団体の秘密結社クー・クラックス・クランを指す「KKK」の文字が描かれています。激しく踊り、激しくガラスを割るマイケル。いかにマイケルが人種差別に憤っていたのかがよくわかります。無言の叫びともいえるマイケルの姿に胸が締め付けられる思いがしました。

いまこそ世界中の人々にマイケルの”Black or White”を聴いてほしいと強く願います。