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弁護士 小田 康夫
2020.05.7

軍略と弁護士

中国史の春秋戦国時代、
秦が中華統一をする前には、

西から半時計周りに
①秦(しん)、
秦の南に
②楚(そ)、
その北東の沿岸にかけて
③斉(せい)、
④燕(えん)、
燕と秦に挟まれる形で
⑤趙(ちょう)、
①~⑤の内陸には
⑥魏(ぎ)
⑦韓(かん)
の戦国七雄と言われる国々がありました。

西の大国である秦は強引に(武力で)中華統一を目指そうとしますが、
小国には小国なりの戦い方があり、小国同士が同盟を結び、大国秦を東や南から切り崩します。ただ、秦も、斉に利益を与えるなどして同盟関係を離脱させるなどして対抗します。秦が東に隣接する魏に対し戦力を集中し、武力侵攻をすれば楚が南から秦をたたいて牽制します。戦力を一局面に集中させれば、背後の防御力が落ちることはあるでしょう。

こんな時代の軍略家は対応を間違えれば国家の存亡すら危うくします。
軍略家と弁護士は似ていると言えば、乱暴ですが、いずれも、戦略的にどのように依頼者が(自国が)生き残れるかを考える点では同じです。また、いずれも、戦いになる前に見通しを持つこと、先見性が求められます。

軍略でも、弁護士でも、
よく勘違いされるのは、

「戦いに勝つ=訴訟に勝つことが理想ないしゴールである」

とされている点です。
戦いに勝つ、訴訟に勝つ事は、あくまで紛争解決手段の一つにすぎません。

弁護士のドラマで
よく見る法廷の映像だと
「弁護士の仕事=裁判所を舞台」
というのが定番ですが、
必ずしもそれは弁護士の「主戦場」ではありません。

裁判は単なる「紛争解決の一つ」であり、
裁判になる前に解決する
裁判をさせずに終わらせる
裁判にならないよう火種を消す
という手法の方が、感覚的に多い印象です。
戦いに持ち込ませない、外交力は軍略家がまず考えるところでしょう。
攻撃ばかりしていれば、疲弊しますし、そんな国はみんなから信用されなくなります。

孫子の兵法によれば、戦わずして勝つことが理想されます。
孫子にならうなら、裁判にならない、メディアにも注目されない、影でひっそりとした紛争を予防する法務が最良の弁護活動だと言えるでしょう。優秀な弁護士の多くは目立たない、目立っていない中に多くの優秀な弁護士がいる。そう考えると、弁護士を探すことは戦国時代に優秀な軍略家をかかえることの難しさに似ている気がしないでもありません。