「エリン・ブロコビッチ」。
「プリティー・ウーマン」のジュリア・ロバーツが
主演女優賞を獲得した２０００年の作品です。

アメリカ史上、
最高額の和解金を勝ち取ったという実話をもとにした映画です。
和解金の金額は３億３３００万ドル。
日本円にしたら３６０億くらいでしょうか。
天文学的な数字ですね。日本の裁判ではありえない金額です。

以前、一度、この映画を観ていたのですが、
最近、また観直してみました。
本当にスカッとする映画です。
何より実話だというのがすごいです。

裁判ものの映画ですが、
全然、お堅い内容ではありません。
法律家を目指す人もそうでない人も
まったく関係なく、エンターテイメントとしてお薦めできる映画です

はじめてこの映画を観たのは、
２００１年の５月です。
時期を覚えているのには理由があります。

その頃、私はまだ司法試験受験生でした。

当時の司法試験は、
５月にマーク式試験（択一試験）を受け、
それに合格すると、
７月の論文式試験を受験することができ、
さらにこれに合格すると、
１０月の口述試験を受験し、
これに合格してはじめて司法試験の最終合格となります。

エリン・ブロコビッチを観たのは、
択一試験を受験した５月の第２日曜日（母の日！）の
翌日でした。

択一試験終了後、その日の夜には司法試験予備校等から
択一試験の解答予想と合格推定点が発表されます。

択一試験の問題冊子は各自持って帰ることができますので、
自己採点をすれば自分が択一試験をパスしたかどうか、
その察しがつきます。
早く安心するためにはすぐに自己採点すればいいのですが、
私は、この年の択一試験で少し失敗をしたという自覚があり、
なかなか自己採点する気になれませんでした。

択一試験直前の数か月は追い込みの時期でしたので、
本当に勉強漬けの毎日でした。
せめて択一試験が終わった翌日くらいは、
気晴らしにＤＶＤでも観ようと決めていました。

そこで、私が選んだ映画が「エリン・ブロコビッチ」でした。

映画を観ている間、映画を楽しみたいと思いつつも、
５分に一回のペースで択一試験に合格しているかどうか
不安がよぎりました。

司法試験に挑戦する最後の年と決めていましたので
余計に不安でした。

そんな不安を抱えながらも、
この映画を観て気持ちが少し楽になりました。
痛快なストーリーと相手が誰であろうと構わず、
ストレートに感情をぶつける主人公エリンのセリフに
当時の私は本当に救われました。

そして、映画を観終わり、勇気を出して
択一試験の自己採点をしてみました。

択一試験は３科目、憲法・民法・刑法。
各科目２０問ずつ、合計６０問あります。
その年の合格推定点は４３点か４４点だったと思います。

憲法から採点し、最悪の１２点。
次に民法で１５点。この時点で２７点。
最後の刑法で１６点以上取っていなかったらアウトです。

おそるおそる刑法の採点をしたところ、
なんとか１８点取れていることがわかりました。
ただ、あくまで予備校の発表する予想解答を基にした採点結果です。
法務省の考える回答と予備校が考える回答が違っていることもないわけではありません。

そのため、完全に合格しているという自信までは持てませんでした。
しかし、合格推定点より１、２点上回っているのではないかということがわかり、安堵した記憶があります。

エリン・ブロコビッチから勇気をもらって採点したから合格点に達したというわけではないのですが、自分の中では、エリンが背中を後押ししてくれたと感じております。

その翌日から俄然やる気を取り戻し、７月の論文試験に向けて
勉強を再開することができました。

そして、その年、無事に最終合格することができました。

択一試験後、すぐに論文に向け、
気持ちを入れ替えることができたのが大きかったと思います。

最終合格したのもエリン・ブロコビッチのおかげだと思っています。
私にとっては本当に感慨深い作品です。

先日、１０年以上ぶりにこの映画を観て、
当時のことをまた思い出しました。
初心を忘れないようにと、改めて思いました。