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弁護士 小田 康夫
2019.09.10

わが街、なかしべつの、競争戦略

私が生まれ育った中標津町は広い道東の中でも、釧路と知床のちょうど真ん中あたり位置する、人口2万4000人の小さな街です。私事ですが、中標津高校卒業後、札幌におよそ10年間居住し、旭川に1年間、都内近くにも数か月間、釧路の4年間を経て、イマココ中標津町に戻り1年ほどになりました。

なかしべつの魅力的な部分を列挙すると、数え切れませんが、競争戦略の視点で、街の強みを分析することは有用な気がしています。というのも、中標津町のような小さな街は、日本中、そして世界中に溢れているため、戦略的に考えないと、「地方の、よくある、人口減少都市」と思われて、埋もれてしまうからです。北海道や日本全国に居住する人、さらに世界にいる人に向けて、「何が、なかしべつの魅力なのか」を明確に理解して、情報発信する必要があります。競争戦略を「厳しい環境でも勝ち抜くための手法」と定義すれば、他の地域にはない魅力を効果的に発信していけば、厳しい人口減少社会においても、札幌や東京に負けず地方都市としての生き残りができるのではないでしょうか。





さて、経営戦略を立てるときも、街づくりの競争戦略を立てるときも全く同じですが、まず、戦略を考えるにあたって前提となるのは、「うちの強みは、○○だ」という現状を把握するところです。

では、なかしべつ町の「強み」は何でしょう?
よくある経営戦略の書籍には、外部環境分析と内部環境分析が重要だと書かれています。「なかしべつ町が持っている魅力は何か」に関し、「他の地域に比べて何に優位性があるか」(=競争優位性)を外部、内部環境の視点で考えてみましょう。

①外部環境(地理的観点などから見て、競争優位性はないか?)
抽象的に言えば、

×空港があること。
×おいしい食材の宝庫。
×大自然があること。
です。

ただ、上のような情報だと、北海道のほかの地域との“差別化”ができていません。
もっと抽象度を下げて、具体的に考える必要があります。
例えば、
〇世界遺産の知床、秘境としての価値が高い神の子池などが近い!
〇道東観光の玄関口となる根室・中標津空港がある!
〇地理的にも釧路(湿原)、根室(カニ祭り)、知床(世界遺産)、北見(焼肉)の4地域のおよそ中間に位置するため、道東の主要なスポットを回るにはちょうど良い場所にある!
〇近隣の釧路空港には関西国際空港からLCCピーチも就航!関西からも道東アクセスがカンタンになった!
〇北方領土に近い!ビザなし交流も盛んで地域的な国際色がある。

②内部環境(街に“希少で”“模倣できない”“差別化”できるコンテンツがあるかを考え、競争優位を発掘する)
△大自然の中の大酪農地帯
△牛乳生産多い!
△ウシのいる景色・自然

これも北海道にありがちなコンテンツで、差別化をするにはもう一工夫必要です。
例えば、
〇歴史的な背景を加えたパターン
→釧根台地は冷涼な土地でもともと畑作もありましたが、多くの冷害に見舞われてきました。冷涼な土地に適した乳牛を多く受け入れてきたパイロット事業が展開され、一大酪農地帯となった歴史的背景は他の地域にはない特色でしょう。
〇模倣困難な特色でアピールするパターン
 →「ヒトよりウシが多い街!」遠くに見える連峰をバックに、大自然の緑の中、ウシが草をはむ、ザ・北海道の風景。
〇食の宝庫・北海道の中でも差別化するパターン
→北海道は牛乳生産量全国NO.1!全国シェアの約半分が北海道産です。
その中でも中標津町、隣町の別海町は、冷涼かつ広大な草地酪農を基本にしているから、ウシが食べる食材は最高で、牛乳の質も最高水準!

③以上の環境分析から、なかしべつ町の強みは、「ザ・北海道の草地酪農ココにあり!牛乳の味が違う、食の宝庫!都会からもアクセス容易な空港を背景に道東の魅力いっぱいの場所の中継地だ!」となります。





現状がわかったら、戦略テーマを立案しましょう。
誰に(ターゲティング)、どのような価値を提供して、業界内でどのようなブランディング(ポジショニング)をしていくかを考えます。

例えば、
(ターゲティング)
東京、大阪のような都会で日々多忙なビジネスパーソンをターゲットに、
(ポジショニング)
悠大な大自然と食のある街で、ひと夏に一度は休息のために立ち寄りたい「オアシス」として、滞在できる場所を提供する街






戦略テーマを立てたら、戦略オプションとして、街の資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を集中させる戦略を展開していくことが可能となります。
例えば、都会のターゲットに訴求する手法としては、ありきたりですが、大都市での街の魅力を発信するキャンペーンをはったり、牛乳の味と地域の魅力を伝える情報をインターネットに定期的に発信するなどの手法が編み出されます。





私の理解ですが、競争戦略というのは4つの段階があり、①優位性の発掘、②優位性から戦略テーマを確定、③戦略テーマに基づく戦略手法を編み出し、④市場へ投下するというサイクルです。資源は常に有限ですから、外部・内部環境変化に目を光らせて、ある市場においてわが街の「強み」は何か、市場が何を求めているかを注意深く観察し、街の魅力、市場のニーズの変化を見逃さないことが肝要です。

以上の視点は、「強み」の分析ですが、本来は、人口減少という“脅威”や社会的なインフラの未整備、財源がないなどの“弱み”にもスポットを当てるべきでしょう。ただ、脅威も弱みも自然の多いわが街の優位性の一翼をなしていてちょっと不便なところが良いという視点でピンチをチャンスに変える、不便なところを生かす発想の転換が必要なのかもしれません。その意味で「北根室ランチウェイ」(http://kiraway.net/)などの散歩道は「開発されていないことを楽しむ」というか、「なにもないことを生かす」という非常に画期的なアイディアで、街づくりのヒントがあふれているように思います。
また、今は、クラウドファンディングなどもあり、手元資金がなくても、町の限られた財源に頼らずに自分たちでやる、という方向性もあります。現に私の所属する団体でもつい最近、クラウドファンディング(「キャンプファイヤー」https://camp-fire.jp/)で目標額を大きく上回る80万円の資金調達に成功し、なかしべつ町の魅力を今後YOUTUBEで配信する予定です。

以上は、主に地方の街づくりをテーマにしたものですが、このような視点で戦略を展開するのは、企業経営も全く一緒です。競争戦略を深く理解すれば企業活動が成長し、わが街やその周辺人口の税収も増えて、みんなハッピーとなるでしょう。自分の街の競争優位をみんなが考えていく。財源が限られている中、個人個人がそれぞれに戦略テーマを発表し合って、議論し、街を良くしていこうと考える下地ができれば、地方自治、住民の政治参加にもつながっていきます。少し脱線しましたが、競争戦略の実現には、上記以外にも考えることは多様で、組織をどのようにデザインするか(組織デザイン)、マーケティング・デザインをどうするか(=売れるための仕組み作り)、生産から販売までのプロセスの無駄・無理・漏れをどのように排除するか、さらに財務状況をどのように健全化するかなど、やることはいっぱいあります。次回は組織デザインについて考えたいと思います。