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弁護士 小田 康夫
2019.06.06

遺言書の制度が変わりました。その2

前回のコラムで自筆証書遺言の作成方式が緩和されたという話をしました。
今回はこの遺言書を保管する制度が新設されたという話です。

自筆証書遺言はもともと、
「費用をかけず、かつ、人に知られず遺したい」というニーズに応えるものでした。
しかし、その反面、
「作成後に紛失したり、隠されてしまったり、書き換えられてしまうかもしれない」
という点がリスクでした。

そこで、今回の改正で、自筆証書遺言書を法務局で保管する制度を創設しました。
作成後に持参して保管してもらえば、紛失、隠匿、変造のリスクはありません。
遺言書の作成後、封をせずに、住所地か不動産の所在地の法務局に、遺言をする本人が出頭します(遺言書保管法4条)。
作成後は法務局に保管され、遺言者の死亡前は、遺言者以外の者(推定相続人を含む)からの照会には応じません。遺言者のプライバシーを保護する必要があるからです。
死亡後、遺言書を発見したときは、原則として、家庭裁判所に「検認」、すなわち、遺言書を家庭裁判所に持参して、遺言書の偽造等を防ぎ、証拠保全を行う手続きが必要です(民法1004条1項)。ただし、上記保管制度を利用すると、「検認」は不要となり(遺言書保管法11条)、死亡後の手続きも簡単になります。
死亡後は、だれでも遺言書が保管されているかを法務局に照会することができます(遺言書保管法10条)。相続人であれば、遺言書の写し等の交付申請もできます(遺言書保管法9条)。

保管申請の際に明らかな方式違反があれば、法務局は申請を受理しないという運用になるようです。せっかく苦労して作成した遺言書が無効とならないようチェックしてもらえるなら安心です(なお、遺言書の有効性を保証するものではありません)。今後、(何か理由があって公正証書遺言は作成したくない・作成できないゆえに)自筆証書遺言を作成したいという方は、「法務局で保管してもらえる」ということをセットで覚えておきましょう。

なお、施行日は、2020(令和2)年7月10日です。法務局に保管を申請できるのは、同日以降となるので、ご注意ください。以下の法務省ウェブサイトもご参考に。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html