弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 荒井 剛
2019.01.31

お年玉付き年賀はがきの処遇

昔から毎年1月半ばを過ぎると必ずやっている作業があります。
お年玉付き年賀はがき(以下「年賀はがき」といいます)の当選番号の確認です。今年も1月20日に当選番号が発表されましたので、1枚1枚照らし合わせてみましたら3等のお年玉切手シートが6枚当選しておりました。これまで30年以上、毎年、確認しておりますが、お年玉切手シート以外に当選したことはありませんのでまあこんなものでしょうという穏当な結果です。お年玉切手シートの絵柄は毎年変わりますし、かわいらしい切手シートなので年賀はがきと交換するときにいつもちょっぴり嬉しくなります。ただ、今年の年賀はがきはこれだけで終わりません。2019年は新元号になる特別な年です。そのため今年の年賀はがきにはダブルチャンス賞が用意されています。ダブルチャンス賞の当選番号の発表日は郵政記念日にあたる4月20日とのこと。https://yu-bin.jp/letters/otoshidama/chance.html
賞品は新元号が入った「特別な切手シート」です。もう一度、チャンスがあります。みなさんも4月のチェックをお忘れなく!

さて、この年賀はがきですが、「お年玉」付きとして販売されることになったのは今から70年も遡ること1949年からです。第1回当時の賞品は、特等から6等まで用意されていました。特等の賞品は「ミシン」でした。その後、日本が高度経済成長する昭和30年代前半には「電気洗濯機」や「タンス」といった生活必需品が、また、レジャーにも目を向けることができるようになった昭和30年代後半には「ステレオ」や「8ミリカメラ」といったレジャー品が賞品になっていました。さらに、その後、「ポータブルテレビ」「電子卓上計算機」「コンパクトカメラ」「カレーテレビ」「電子レンジ」と、当時、高価品とされていた物が賞品になっていました。昭和60年代以降、目新しいものを取り入れようとしたのか、日本各地の特産物を詰め合わせた「ふるさと小包」といったものが登場しました。今年の2等にも「ふるさと小包」が挙げられております。それでもまだ「賞品」と呼べるかなという気がします。

ただ、近年、賞品は、旅行・食事券といった金券に代わりつつあり、とうとう「現金」が賞品に挙げられるようになってきました。昨年の平成30年度の1等は「セレクトギフト12万円相当」又は「現金10万円」でした。平成31年度になると現金の額が増額され「現金30万円または同額相当のプレミアム賞品」となりました。ここ数年で3倍も賞品額があがっています。年賀はがき自体の枚数は電子メールやSNSの普及により減少してきております。賞品を金券や現金にすると販売数が増えるのかという疑問もありますが、やはり金券・現金は魅力的な賞品なのでしょうかね。年賀はがきは1枚たったの62円ですが、これがもしかすると30万円に化けるかもしれないということになります。
年賀はがきの賞品として、現金、それも30万円というのはいくらなんでもやりすぎなのではないか、そもそも賞品といっても無制限に何でもつけていいということではなく、法律的に何らかの制限があるのではないか、と思われる方がいるかと思います。まさにそのとおりです。実は、不当景品類及び不当表示防止法(景表法)、それに基づく公正取引委員会告示により、懸賞金の最高額は本来の取引の価額の20倍を超えてはならず、かつ、10万円以下にしなければならないとされているのです。

年賀はがきは1枚62円です。これを20倍しても1200円程度にしかなりません。しかし、今年の年賀はがきの1等賞品は「現金30万円」です。ハガキ1枚の取引価額の20倍を超えておりますし、10万円も超えています。ではなぜ1等「現金30万円」が許されているのでしょうか。

それは景表法の例外を認める特別の法律が制定されているからです。その名も「お年玉付郵便葉書等に関する法律」です。この法律によって、年賀はがきに限り、郵便葉書代の5000倍までの懸賞が認められることになりました。もちろん、これは現金を賞品とする場合だけに問題になるのではなく、「ミシン」「テレビ」といった物を年賀はがきの賞品とする場合にも問題となり、景表法の例外として認められてきたということになります。

(参考)
お年玉付郵便葉書等に関する法律
(お年玉付郵便葉書等の発行)
第一条 日本郵便株式会社(以下「会社」という。)は、年始その他特別の時季の通信に併せて、くじ引によりお年玉等として金品を贈るくじ引番号付きの郵便葉書又は郵便切手(以下「お年玉付郵便葉書等」という。)を発行することができる。
2 前項の金品の単価は、同項の郵便葉書の料額印面又は同項の郵便切手に表された金額の五千倍に相当する額を超えてはならず、その総価額は、お年玉付郵便葉書等の発行総額の百分の五に相当する額を超えてはならない。

ところで年賀はがきですが、私の場合、毎年、必要以上に注文してしまい出しきれずに余らせたり、あるいは書き損じたりしてしまっています。今年もなんだかんだいって15枚程度あります。この書き損じた年賀はがきをどうしようかと思案しております。郵便局に行き1枚5円の手数料を支払えば、新しい葉書や切手に交換してくれます。それはわかってはいますが、今年は、それをせず、ユネスコ世界寺子屋運動の書き損じハガキキャンペーンに協力したいと思っております。キャンペーンを紹介している動画があります。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=30&v=zPYVb7Rnbqw
書き損じはがき11枚を寄付することで貧困国の一人の子どもを一か月学校に通わせることができるというものです。
 1枚5円の手数料を支払って新しい切手・葉書に交換することができますので、1枚62円の書き損じはがきを寄付された側は、郵便局に5円を支払い、新しいハガキもしくは切手に交換し、それを換金することで57円を得ることができます。そのお金を使って貧困国の子ども達の教育資金に使うということになります。もしみなさんの中で書き損じのお年玉年賀はがきをどうするか迷われている方がいらっしゃいましたら選択肢の一つとしてご検討いただければ幸いです。なお、ユネスコだけでなく他のNGOでも書き損じはがきを回収しているようですのでご自身が好きなNGOに送って戴くのもいいかもしれません。