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弁護士 小田 康夫
2018.09.05

150人体制よりも1人のチカラ。~k-Bizスタート~

8月20日、中小企業支援に興味があって、k-Bizシンポに参加しました。

k-Biz=ケービズは、釧路ビジネスサポートセンターの略。
https://www.kushiro-biz.net/
1回1時間、無料の相談が受けられます。
澄川(すみがわ)さんという方が、基本「1人」で相談を受けるとのこと。
1日に数件の相談を受けていくようです。

ただ、これまでも企業支援の窓口はありました。
最後に紹介するように、中小企業の支援体制は緻密に構築されてきました。
意地悪な見方をすれば、k-Biz窓口が1つ増えたって、
「1人で何ができるの?」
「1つ窓口が増えただけで、大きな変化はない」
「これまでの支援と何が違うの?どうせまた税金の無駄遣い」
との声が聞こえてきそうです。

でも、本当にそうでしょうか。






私が思い出すのは、先々月のことです。
「山口県で2歳児、行方不明」のニュースを見ました。

行方不明となったのが7月12日の午前10時。
およそ二日たった同月14日の夜も行方不明のまま。
警察・消防150人体制を敷いても見つからず、この時点で、ニュースを見た私は不謹慎にも、

「もう助からないだろうな」

と思っていました。
しかし、7月15日朝、ニュースを見ると、1人の男性が、捜索開始わずか30分ほどで発見した、と。










発見した男性はこんなことを語っていました。
「人の命は重いからね」
「(大分県の)家を出た」
「進行方向に向かって右側が崖だからたぶん降りていないと思ったんです」
「人間っていうのは下に降りるよりも上に上がる方が好きだから」
「おれここと言ったときは嬉しかったですよ、小さな命が助かった」
「ここにこうやって座っていた」
「飴をガリガリ食べた」
「それができるってのは元気があるなと」
「渡しますよと約束した」
「警察が渡してくださいときたけど、イヤですと断った」
「言うたことは守る。なんぼ警察が来ようが、大臣が来ようが関係ない」
「(見つけた)○○ちゃんの顔を見せたときは、お母さんはもう声が出なかったな」
「あの嬉しそうな顔は、一生焼き付いて離れんだろうな」








ニュースを見て、この男性の「他県から応援に駆け付けるほどの情熱と並外れた行動力」「人命救助に関する知識・経験の豊富さ」「テレビ・インターネットの画面からあふれるエネルギーの強さ」に驚いた方は多かったのではないでしょうか。
過去にも東日本大震災をはじめ、日本全国で災害支援に取り組んできた方とのこと。
たった1人のチカラが、幼い命を救いました。










話は戻りますが、k-Bizセンター長の、澄川(すみがわ)さん。
東京大学工学部出身で大学ではロボットを作ったりしていたそうです。
センター長になる直前まで大手企業(リクルート)で勤務していました。
シンポで話を聞いていてわかったのは、澄川さんは、リクルートでトップビジネスマンであったこと(給与は、k-Bizセンター長よりも高かった!)、出世を約束されていたこと、上司から引き留められたが、それを蹴って大都市から家族を連れて地方の釧路にやってきたこと、不動産関係の知識・経験が豊富であることなど。
また、シンポでは、k-Bizの誕生のもととなったf-Biz(静岡県富士市)のセンター長である小出氏がこんな話をしていました。私たちは「外国人助っ人」のようなものだから結果を出さなきゃ意味がない、ビジネス支援の相談窓口は、現役を引退したOBが行っていることが多く、トップビジネスマンが行う相談窓口はこれまでなかった、選考には最後3人が残った、どの方もセンター長に必要なビジネスセンス・コミュニケーション能力・情熱の三つの要素は備わっていたが情熱が一番強かった彼を選んだ、と。













強い情熱の下、多くの知識・経験に裏打ちされた、並外れた行動力。
まさに山口県で幼い命を救ったあの男性と同じでした。
また、およそ「外国人助っ人」ばりの体格もある澄川さんは体力もずば抜けていそうです。
そんなことを妄想しながら、シンポで、澄川さんの話を聞いていました(なお、私は澄川さんとまだ一度も話したことすらありません。私の勝手な想像です)。
たった1人のチカラでも、多くの道東企業を救う「救世主」になってくれるのではないか、と勝手に期待しています。







最後に、中小企業のサポートする制度を紹介します。
中小企業支援は、喫緊の課題として、政府も積極的に中小企業支援策に乗り出しています。
実は、支援策は盛りだくさん。
以下に示すのは一例です。
制度はコロコロ変わるので、あくまでご参考までに。

□日本政策金融公庫が行う主な融資制度
①新創業融資制度
・融資限度額3、000万円(うち運転資金1、500万円)
・無担保、無保証人
・自己資金要件1/10あり
②女性、若者/シニア起業家支援資金
女性、35歳未満の若者、55歳以上のシニアを対象。
③中小企業経営力強化資金
・返済期間について設備資金は20年以内、運転資金は7年以内
・経営責任者の個人保証が通常
④企業活力強化資金制度
 商業施設の整備などの資金を融資
⑤セーフティネット貸付制度
一時的な資金繰の悪化時に対応
 ⑥その他各種貸付制度が充実しています。
  株式会社日本政策金融公庫のホームページ参照
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/index.html

□信用保証協会が行う主な保証制度
①セーフティネット保証制度
・市町村長又は特別区長が認定を行う。
・取引先の倒産、自然災害等への対応
②流動資産担保融資保証(ABL保証)制度
売掛債権や棚卸資産を担保に金融機関から行われる融資を保証
③経営力強化保証など各種保証制度あり

□中小企業関連税制
(※法人税法では業種に関係なく、資本金1億円以下の企業が中小企業です。)
①年800万円までの交際費全額or飲食接待費50%のどちらか損金算入可能
②年所得800万円以下の部分について、法人税の軽減税率が適用
③エンジェル税制
ベンチャー企業への投資に個人投資家を誘引するもの
設立10年未満の会社への投資全額を株式譲渡益から控除

□創業支援
①日本政策金融公庫による新創業融資(前述)
②信用保証協会による創業関連保証(前述)
③産業競争力強化法に基づく創業支援スキーム
  創業に関する普及啓発(創業機運醸成事業)
Ⅰ 産業競争力強化法に基づき認定を受けた創業支援事業者への支援
    ア)国からの補助金(上限1000万円、補助率2/3)
イ)信用保証(信用保証協会が8000万円までの無担保保証実施)
Ⅱ 認定特定創業支援事業の支援を受けた創業者への支援
ア)登録免許の軽減(資本金の0.7%→0.35%)
イ)創業関連保証(無担保、第三者保証なし)の枠1000万→1500万
④ミラサポ事業(※創業支援に限らず。)
 情報集約・情報発信オンラインサイト。無料専門家派遣事業など
⑤地域プラットフォーム(※創業支援に限らず。)
  支援センター同士の連携体(オフライン)。無料専門家派遣事業など
⑥よろず支援拠点事業(※創業支援に限らず。)
  中小企業庁が実施する経営相談窓口。無料の相談窓口。

□「経営革新計画」を提出・承認されることによって受けられる支援制度
※中小企業新事業活動促進法に基づくもの(平成17年4月13日公布・施行)
※中小企業経営革新支援法、中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法、新事業創出促進法の3法律を整理統合
※「経営革新計画」→企業のやる気をアピールする
①経営革新支援
新商品の開発・生産、新役務(新サービス)の開発・生産、商品の新たな生産・販売の方式の導入、役務の新たな提供方式の導入その他の新たな事業活動について、一定の経営目標(※)を示し、承認が受けられれば、ア)日本政策金融公庫の低利融資、イ)信用保証の特例(保証限度額の別枠化)、ウ)経営革新補助金(補助率2/3)、エ)設備投資減税、オ)特許関係料金減免などの様々な支援
 ※付加価値額が年率3%以上の伸び、経常利益が年率1%以上の伸び
  付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
  経常利益=営業利益-営業外費用等
②創業支援
  最低資本金の特例、エンジェル税制、特許減免措置など
③新連携支援
  ・高付加価値の製品・サービスを創出する新たな事業(新連携)を支援する
・事業の分野を異なる2社以上の中小企業者
  ・半数以上が中小企業

□「経営力向上計画」の認定による支援
中小企業等経営強化法(平成28年7月1日施行)に基づき「経営力向上計画」(※)の認定を受けた中小企業・小規模事業者を対象に、①新品の機械の投資に係る固定資産税を3年間、1/2に軽減、②生産性向上設備(A類型)・収益力強化設備(B類型)の新規取得の際の税制優遇、③金融支援等の優遇措置。
※3年~5年間とする計画期間設定 期間に応じて「経営目標」(1~2%以上)
※平成30年6月30日現在、63、469件の計画認定
※中小企業庁HPhttp://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/index.html

□技術開発支援(新事業創出促進法)
創業から事業化までを一貫して支援する中小企業技術革新(SBIR)制度
例えば、①日本政策金融公庫による低利融資、②特許料等の減免、③債務保証枠の拡大、④中小企業投資育成株式会社法特例、⑤入札参加機会の特例措置の拡充、⑥小規模企業者等設備導入資金助成法の特例など

□中心市街地活性化のための支援制度
 基本的に、「中心市街地の活性化に関する法律」に基づく支援であり、「中心市街地活性化基本計画」に基づき実施。
なお、平成12年に大店法は廃止され、大店立地法、中心市街地活性化法、都市計画法が「まちづくり三法」と呼ばれている。
①中小機構による、活性化診断・サポート事業(セミナー・プロジェクト開催)
  まちづくりの事業構想を実現するためなどの助言を行う専門家派遣
②中心市街地活性化協議会への支援
  ・まちづくりの司令塔として機能する中心市街地活性化協議会を支援
  ・中心市街地活性化協議会支援センターのHPhttp://machi.smrj.go.jp/
・中小機構による専門家派遣
③まちづくり人材育成プロジェクト
  「街元気」などの情報提供サイトの提供など
④地域未来投資促進法に基づく支援
  地域経済を牽引する企業が実施する、高い先進性を有し、地域経済の好循環を生み出す「地域経済牽引事業」に対して、設備投資減税等を実施し、集中的に政策資源を投入していくもの。①国税(法人税等)に係る課税特例、②地方税(不動産取得税、固定資産税)の減免、補助金等
※詳細は、経済産業省HP及び経済産業省北海道経済産業局HPを参照http://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/chiikimiraitoushi.html
http://www.hkd.meti.go.jp/hoksr/chiiki_mirai/index.htm
⑤地域商店街活性化法に基づく支援
  空き店舗対策など
  ※詳細は、(株)全国商店街支援センター(JSS)のサイトを参照。
http://www.syoutengai-shien.com/
⑥各種補助金事業

□新たな事業活動の支援
①中小企業地域資源活用促進法に基づく支援
地域資源活用による新商品等の開発等を支援
②農商工等連携促進法に基づく支援
・国が基本方針
・中小企業者と農林漁業者が事業計画を共同で作成、国に申請
・NPO法人等が支援事業計画を作成

□中小ものづくり高度化法に基づく支援
国際競争力の強化および新たな事業の創出を図ることが目的
「特定研究開発等計画」の認定が必要。
①戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)
②特許化にかかる支援措置
「審査請求手数料」が半額
「1年から10年分の特許料」が半額
③日本政策金融公庫による低利融資
④中小企業信用保険法の特例
⑤中小企業投資育成株式会社法の特例

□都道府県等中小企業支援センターによる支援
都道府県および政令指定都市が行う中小企業支援事業の実施体制の中心

□中小企業基盤整備機構(中小機構)による各種支援
全国9カ所の地域本部等において様々なサポート。
上記に触れたもののほか、例えば、①集団化事業(公害・騒音対策として一つの建物にまとまって移転する)、②集積区域整備事業(商店街アーケードにおける全体の建替え)、③共同施設事業(共同で経営する倉庫などの建設)、④施設集約化事業(ショッピングセンターを建設する)につき、設備資金を融資。
貸付限度額なし、20年以内、有利0.5%

□特許料等の減免制度
 特許庁HPに詳細あり。
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/genmensochi.htm

□中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)による支援
①中小企業基盤整備機構が運営する共済制度
②1年以上継続して事業を行っていること、掛金納付月数6ヶ月以上が要件
③積立額の10倍の額うち、必要な金額の少ない額(最大8、000万円)
④無担保・無保証人・無利子
⑤掛金月額は5、000円~200、000円

□事業承継税制(平成30年4月~)
①非上場株式を対象
②贈与税・相続税の全額猶予制度

□産業競争力強化法に基づく再生支援
①中小企業再生支援協議会の設置
②各都道府県にそれぞれ1ヶ所(商工会連合会や商工会議所等)
③私的整理ガイドラインとは異なる協議会スキームあり

□小規模企業対策
①小規模企業共済制度(経営者の退職金共済)
・中小機構が運営
・個人事業主、共同経営者、会社役員、組合の役員
・掛金月額1、000円〜70、000円、全額所得控除
・納付した掛金総額の範囲内で無担保・無保証人の貸付制度
②小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)
・日本政策金融公庫
・無担保・無保証人・低利の融資制度
・商工会の指導員による経営指導を6ヶ月以上受けていること
・同一地区で1年以上事業を行っていること
・限度額2、000万円、貸付期間は設備資金10年、運転資金7年

このように支援策は豊富です。
他にも利用できる支援策はありますので、興味がある方は、上記機関に直接ご連絡するか、専門家にご相談ください。