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弁護士 小田 康夫
2018.08.09

中小企業診断士試験を受けてきました(落ちました)~挑戦を継続するには~

 平成30年8月4日5日、札幌の商工会議所で、中小企業診断士の試験がありました。釧路からJRで4時間かけ、前日入り。ひさしぶりの試験会場、独特の緊張感を味わいつつ、いざ試験開始。2日目の最後の方はヘトヘトになりました。翌日の8月6日、正解が発表されたので、自己採点をしました。
結論として、420点合格のところ、414点。
 あと6点。
 1次試験不合格。
 まぐれで当たった問題もあり、ケアレスミスもありました。
 司法試験同様、実力がきちんと出る試験だと思います。

 今回のコラムは、基本的に来年の試験に向けたものです。そのため、

「来年、(良く知らんけど)中小企業診断士試験でも受けてみようかな」
「どんな試験なのか、ちょっと気になる」
「弁護士なのに、なんで落ちたの?今度会ったとき笑ってやろう」

 という方向けです。
 それ以外の方、特に読んでも得も損もしません(ごめんなさい)。










 1次試験の科目は全部で7つ。
選択肢を1つ選んで、マークシートに記入する択一試験です。
今年は、

1日目(平成30年8月4日)
①経済学・経済政策  (9時50分~10時50分)
②財務・会計 (11時30分~12時30分)
③企業経営理論 (13時30分~15時00分)
④運営管理 (15時40分~17時10分)

2日目(平成30年8月5日)
⑤経営法務  (9時50分~10時50分)
⑥経営情報システム (11時30分~12時30分)
⑦中小企業経営・中小企業政策(13時30分~15時00分)

という日程でした。

各科目満点は100点です。
420点(60点×7科目)以上取れば合格です。

 もっとも、特別に、
□他資格保有者には科目免除制度あり
例えば、弁護士なら「財務・会計」「経営法務」は免除申請が可能。なお、60点として評価。
□科目合格制度あり
例えば、今年60点以上取っていれば、来年は科目免除申請可能。なお、60点として評価。
□基本的に一つでも40点以下があれば足きりで1次試験は不合格。

1次試験に合格すれば、2次試験は、論文。
論文試験は4科目あります。
今年の2次試験は10月21日です(私も受けたかった)。
3次試験は口述試験です。
2次試験に合格したらほぼほぼ受かるようです。









 ところで、私の試験対策は、
☑過去問を何度も読む(最初は「まず答え」から。試験直前の段階になると、問題をみれば、答えがア~オのどれなのか、ある程度、分かるようになりました。)
☑問題集や模擬試験は一切やらない(試験当日、痛い目に遭います。後述。)
☑過去問でどうしても良くわからないところだけネット検索
☑興味のある分野は専門書籍を購入・読書(試験対策には全く無意味ですが、ピケティの「21世紀の資本」は改めて良書だと感じました。)
☑ほぼ毎日、夜寝る前には経済学の勉強(そのおかげか、本番では72点/100点)
☑基本的に暗記科目なので、ゴロ合わせを多用

 試験を受けて感じたことは、
☑直前期の暗記が一番大事(単に知っていれば対応できる問題が多い)
☑現場で簡単な計算をすれば解けるものあり
☑1問4点配点が多く、ケアレスミスが命取り
☑経営法務は問題文がイマイチ(言葉遣い・問題設定がおかしいなど)

 失敗したことは、日常業務の後や出張の移動中に勉強していたため、札幌に赴いて模擬試験を受けることができなかったことや、周りに勉強仲間がいないため情報交換ができなかったことです。それでも何とか2日目の⑥科目目までは試験問題に食らいつくことができましたが、最後に受けた⑦科目目「中小企業経営・中小企業政策」という科目で痛い目に遭いました。この科目は、直近の経済データ(基本的に「1年前の中小企業白書」)からの出題が約半分(なんと50点分!)。過去問の問題集では、データが古いためか、多くの経済データに関する問題が削除(400頁以上の問題集なのですが、20頁程度しか記載がない)。削除されていることに気が付かず、試験問題の半分を占める「中小企業白書」の対策をほとんどしていなかったことが試験時間中に発覚しました。足きりは免れましたが、対応できず・・・。

 来年の対策としては、
□中小企業白書の読み込み
□苦手分野の発見と情報整理。2次試験には出るが、1次試験では科目免除となる「②財務・会計」の分野に触れておくこと
□勉強仲間の確保、勉強仲間との情報交換
といったところでしょうか。








 振り返ってみると、私が司法試験を受験したときも、仲間の存在がとても大きく、おそらくその存在がなければ合格していません。事実、2回目の司法試験に落ちたとき、私の書いた論文の答案を見てもらい、何度も添削をしてくれた仲間がいなければ、方向性がわからず、試験に合格することは難しかったでしょう。私の場合、「大学」には、友人、先輩・後輩もいましたし、ゼミでも貴重な仲間を得ました。おそらく、従来の司法試験では「予備校」で多くの仲間とつながったことで、合格を果たした方もたくさんおられると思います。

 こんなことを考えていると、試験勉強という事例にとどまらず、「孤立させず、一つの困難(目標)に仲間と一緒にぶつかっていくという手法」が目標達成のために有用なものだと気が付かされます。「学校」と名のつく組織は、およそ集団での規律正しい生活を教えるものではなく、情報共有を図りつつ、あらゆる挑戦を支える基礎としての「仲間」を作る場、そして、その「仲間」たちと共に何かに挑戦する場として存在するのかもしれません。

 しかし、どうでしょう。

 社会人になると、そのような組織はなくなり、どうしても一人で戦うことが多くなってしまいます。「学校」でできた情報共有ができず、仕事仲間はいても、新たな挑戦をともに目指す「仲間」もいない場合、社会人は、自然と孤立し、挑戦を諦めてしまう場面が多いように思います。「始めるのに遅すぎることはない」と言われても、人の意志は弱く、なかなか挑戦を継続することは困難です。逆に、挑戦を支えあう「仲間」がいれば、一つの挑戦を最後までやり抜くことができるかもしれません。

 社会のインフラを構築するにあたって、「孤立を防げ」という話は良くありますが、個人が、何か目標に向かって継続的に挑戦するにあたっても同じで、社会としても、そのような仕組みを構築していく必要があるのではないでしょうか。