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弁護士 鍛冶 孝亮
2018.06.14
2018.06.14
誰がための面会交流
1. 面会交流とは、離婚後又は別居中に子どもを養育・監護していない方の親(以下、「別居親」といいます。)が子どもと面会などを行うことです。
しかし現実には、面会交流が実施されず、離婚をきっかけに、別居親と会えなくなってしまう子どもが多いです。
厚生労働省の平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告によれば、面会交流の実施状況について、調査対象世帯のうち「現在も行っている」と回答したのは、母子世帯の母では 29.8%、父子世帯の父では45.5%となっており、調査対象世帯では、半数以上の世帯で面会交流が実施されていないことになっています。調査の対象となっていない世帯でも、面会交流が実施されていない世帯は多いと思います。
離婚にあたり、子どもの親権者が母親となることは多いため、特に子どもが父親と会えなくなるケースが多いです。
元妻に子どもの様子を尋ねても一切教えてくれないため、子どもが通っている幼稚園の先生に子どもの様子を尋ねたところ、親権者でないことを理由に教えてもらえないばかりか、「子どもができるだけ早く父親のことを忘れるために、接触するのは控えてほしい」と言われた父親の話を聞いたことがあります。
はたして、離婚したからといって別居親と会わせないことは正当なのでしょうか。
2.離婚により離れて生活をするようになってしまった一方の親と継続的に交流を図ることは、子どもの健全な成長に資するものであるため、面会交流は重要であると考えられています。
民法第766条1項では、面会交流の内容を決めるにあたって、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と定められており、日本も批准している子どもの権利条約第9条第3項では、「児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」と明記されており、このことからも面会交流は子どもの権利であると説明されています。
前述した面会交流の趣旨からも、私は、子の利益に反する事情がない限り、原則的に面会交流は実施されるべきであると考えています。
もちろん、子どもと親の関係はそれぞれの家庭で異なっており、様々な事情により、別居親と会うことを希望しない子どももいますので、面会交流は強要されるべきものではありません。
少なくとも、子どもが別居親と会ったり連絡を取りたいと思ったらそれが実現できるような機会は保障されていなければならないと考えます。
3.しかし、現実には、冒頭でも紹介したとおり面会交流が実施されないことが多いです。
例えば、「離婚した以上、子どもには父親(又は母親)を早く忘れてほしいというから」、「面会交流のための連絡のやりとりをしたくないから」などを理由に、面会交流を拒否する場合があります。このような理由で面会交流を拒むことは、面会交流の趣旨に反するといえます。
また、特に多いとされるのが、「子どもが会いたくないと言っている」として、面会交流を拒絶するケースです。
子どもが本心で言っているのであればともかく、子どもが親の顔色を窺いこのように話すことも場合も少なくありません。(例えば、父親に会いたいというと母親が嫌な顔をするので、母親の機嫌を損ねたくない、嫌われたくないとして、本心を話すことができないこともあります)。離婚した後も父親に会いたかったけど、父親に会いたいと言うと母が悲しむと考え言い出せなかったと、内心を吐露した子どもの話を聞いたこともあります。
子どもが遠慮することなく面会交流を行うためには、親のほうから積極的に面会交流を促すことが重要であると考えています。
4.話は少し変わりますが、離婚の案件では、父母の双方に代理人が付くことは多いですが、その場合あくまでも依頼者は父母であるため、面会交流の実施についても父母の意向に基づいた主張がなされます。
しかしあくまでも面会交流は子どもの権利であり、本来であれば子どもが主体となって実施の有無や取決め内容を定めるべきです。
離婚調停などの手続が定められている家事事件手続法では、子どもの手続代理人を選任できるようになっています。
子どもの手続代理人は、あくまでも子ども自身のための代理人であり、例えば、離婚にあたっての親権者を定める場合や面会交流の実施について、子どもの意向を手続に反映させることができます。
新しい制度でありまだ全国的に選任数が少ないですが、子どもの意思に従った面会交流を実施するためにも、有益な制度であると考えています。
5. 海外では、面会交流の実施や養育計画を取り決め、裁判所の承認を得られなければ離婚ができないところもあります。そして、先進国では単独親権ではなく共同親権とされていることがほとんどです。
共同親権であれば、離婚後も子どもの同居親と別居親が、子どものために協力し続けなければならず、別居親との交流も途切れないため、面会交流も円満に進むといわれています。
一方、日本のように単独親権であれば、別居親の関与なく同居親は子どものことを決めることができるため、別居親との交流がなくなり、面会交流も実施されにくくなるといわれています。
現在、超党派による親子断絶防止議員連盟が、面会交流を促進させるために、「親子断絶防止法案」の成立を目指したり、別居の際の子どもを連れ去りの禁止や共同親権制度に向けて民法改正を訴えるなどの活動を行っています。
もちろん、児童虐待案件やDV案件など、面会交流を実施すべきではない事案もあり、無条件で面会交流を行うべきとは考えていませんが、今の日本では必ずしも面会交流が円満に行われていることは言い難いため、離婚後、離れ離れになった父親又は母親と会えず、苦しんでいる子どもを一人でも減らすために、面会交流の推進に向けた動きに期待したいです。
しかし現実には、面会交流が実施されず、離婚をきっかけに、別居親と会えなくなってしまう子どもが多いです。
厚生労働省の平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告によれば、面会交流の実施状況について、調査対象世帯のうち「現在も行っている」と回答したのは、母子世帯の母では 29.8%、父子世帯の父では45.5%となっており、調査対象世帯では、半数以上の世帯で面会交流が実施されていないことになっています。調査の対象となっていない世帯でも、面会交流が実施されていない世帯は多いと思います。
離婚にあたり、子どもの親権者が母親となることは多いため、特に子どもが父親と会えなくなるケースが多いです。
元妻に子どもの様子を尋ねても一切教えてくれないため、子どもが通っている幼稚園の先生に子どもの様子を尋ねたところ、親権者でないことを理由に教えてもらえないばかりか、「子どもができるだけ早く父親のことを忘れるために、接触するのは控えてほしい」と言われた父親の話を聞いたことがあります。
はたして、離婚したからといって別居親と会わせないことは正当なのでしょうか。
2.離婚により離れて生活をするようになってしまった一方の親と継続的に交流を図ることは、子どもの健全な成長に資するものであるため、面会交流は重要であると考えられています。
民法第766条1項では、面会交流の内容を決めるにあたって、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と定められており、日本も批准している子どもの権利条約第9条第3項では、「児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」と明記されており、このことからも面会交流は子どもの権利であると説明されています。
前述した面会交流の趣旨からも、私は、子の利益に反する事情がない限り、原則的に面会交流は実施されるべきであると考えています。
もちろん、子どもと親の関係はそれぞれの家庭で異なっており、様々な事情により、別居親と会うことを希望しない子どももいますので、面会交流は強要されるべきものではありません。
少なくとも、子どもが別居親と会ったり連絡を取りたいと思ったらそれが実現できるような機会は保障されていなければならないと考えます。
3.しかし、現実には、冒頭でも紹介したとおり面会交流が実施されないことが多いです。
例えば、「離婚した以上、子どもには父親(又は母親)を早く忘れてほしいというから」、「面会交流のための連絡のやりとりをしたくないから」などを理由に、面会交流を拒否する場合があります。このような理由で面会交流を拒むことは、面会交流の趣旨に反するといえます。
また、特に多いとされるのが、「子どもが会いたくないと言っている」として、面会交流を拒絶するケースです。
子どもが本心で言っているのであればともかく、子どもが親の顔色を窺いこのように話すことも場合も少なくありません。(例えば、父親に会いたいというと母親が嫌な顔をするので、母親の機嫌を損ねたくない、嫌われたくないとして、本心を話すことができないこともあります)。離婚した後も父親に会いたかったけど、父親に会いたいと言うと母が悲しむと考え言い出せなかったと、内心を吐露した子どもの話を聞いたこともあります。
子どもが遠慮することなく面会交流を行うためには、親のほうから積極的に面会交流を促すことが重要であると考えています。
4.話は少し変わりますが、離婚の案件では、父母の双方に代理人が付くことは多いですが、その場合あくまでも依頼者は父母であるため、面会交流の実施についても父母の意向に基づいた主張がなされます。
しかしあくまでも面会交流は子どもの権利であり、本来であれば子どもが主体となって実施の有無や取決め内容を定めるべきです。
離婚調停などの手続が定められている家事事件手続法では、子どもの手続代理人を選任できるようになっています。
子どもの手続代理人は、あくまでも子ども自身のための代理人であり、例えば、離婚にあたっての親権者を定める場合や面会交流の実施について、子どもの意向を手続に反映させることができます。
新しい制度でありまだ全国的に選任数が少ないですが、子どもの意思に従った面会交流を実施するためにも、有益な制度であると考えています。
5. 海外では、面会交流の実施や養育計画を取り決め、裁判所の承認を得られなければ離婚ができないところもあります。そして、先進国では単独親権ではなく共同親権とされていることがほとんどです。
共同親権であれば、離婚後も子どもの同居親と別居親が、子どものために協力し続けなければならず、別居親との交流も途切れないため、面会交流も円満に進むといわれています。
一方、日本のように単独親権であれば、別居親の関与なく同居親は子どものことを決めることができるため、別居親との交流がなくなり、面会交流も実施されにくくなるといわれています。
現在、超党派による親子断絶防止議員連盟が、面会交流を促進させるために、「親子断絶防止法案」の成立を目指したり、別居の際の子どもを連れ去りの禁止や共同親権制度に向けて民法改正を訴えるなどの活動を行っています。
もちろん、児童虐待案件やDV案件など、面会交流を実施すべきではない事案もあり、無条件で面会交流を行うべきとは考えていませんが、今の日本では必ずしも面会交流が円満に行われていることは言い難いため、離婚後、離れ離れになった父親又は母親と会えず、苦しんでいる子どもを一人でも減らすために、面会交流の推進に向けた動きに期待したいです。