弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 荒井 剛
2017.08.31

いい弁護士、わるい弁護士、どうやって見分けるの??

 唐突ではありますが今年の5月、知的好奇心を満たす学びや気づき、行動を起こすきっかけの場になればということで主に20代から40代の市民有志で「クシロソーシャル大学」なるものを立ち上げました。「大学」といっても正式な大学ではなく交流の場を提供し、みんなで楽しく学び、そして、その上でまちづくりができればいいという思いでスタートしたものです。
 月1回程度のペースでテーマを決めて20人程度で集まり、講義半分、ワークショップ半分という感じで行っております。毎回、初めて参加されるという方もいて人と人とのつながりも増えていきますし、仕事とはまた異なる刺激があり楽しいです。クシロソーシャル大学、略して「クソ大」です。メンバーの一人であるすばらしいデザイナーにロゴを作ってもらいました。クソ大の活動については下記フェイスブックをご参照してください。


https://www.facebook.com/%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E5%A4%A7%E5%AD%A6-749149355258711/



 さて、このクソ大ですが先日、私自身が「弁護士って一体何をしているの?素朴な疑問に答えます!」というタイトルで講演を行いました。「六法」って具体的に何の法律を指しているのか、弁護士はすべての法律を暗記しているのか、なんで悪い人の弁護をするのかといった内容の質問からドラマ「リーガルハイ」と現実の裁判は違うのか、夫婦が弁護士の場合、敵・味方に分かれたりするのかといった質問までさまざまでした。
そんな中、いい弁護士と悪い弁護士ってどう見分けるのかという質問がありました。
 これはなかなか難しい質問です。何をもって「いい弁護士」というのかにもよると思います。
 たとえば、どんな手段を使っても裁判に勝つのが「いい弁護士」という評価をするのであれば狡猾で相手を威圧するような態度をとってくれる弁護士がいいのかもしれません。あるいは依頼者にとって有利なことを言ってくれて、依頼者の言い分をそのまま相手方や裁判所に伝えてくれる弁護士がいい弁護士だというように映るかもしれません。
 もちろん、依頼者にとって有利な事情がある場合には依頼者を勇気づけるためにもそれを指摘することは大事であり、必要だと思います。しかし、弁護士に相談・依頼をするということは、既に何らかのトラブルに巻き込まれているか、あるいは巻き込まれようとしているはずです。そして、一方的にトラブルに巻き込まれるというケースは滅多になく、依頼者側の言動がきっかけであったりすることもあります。そのきっかけとなる事実についてもきちんと把握したうえで対策を練り、紛争解決に向けた行動をとらないと結局その依頼者が望む解決につながりませんし、相談者にとっても思い描いていた結果とならず弁護士との間の信頼関係もおかしくなってしまいます。人間は、誰でも自分をよく見せたいと思っているところがあります。
 
 また、本能的に自分にとって不利益なことを隠そうとすることが多いです。
 すごく単純な例を挙げますと、ある夫婦の離婚事件の相談を受けることになったとします。言葉の暴力がひどい、子どもの面倒をみない、夜遅くまで遊び歩いている等と相手の悪いところだけを一方的に挙げた上、離婚をして慰謝料を請求したいという要望があったため離婚の訴訟を受任したところ、実は相談者側が不倫をしていたという事実が後で発覚し、結果、こちら側からの離婚請求は認められず、最終的には多額の慰謝料を支払う羽目になったという場合を考えますと、最初の時点で、相談者に対し自分にとって不利益な事実はないのかと聞いておけば、それを踏まえて訴訟活動なり離婚に向けた交渉をすることができたといえます。
 弁護士としては、仮に事件を受任するという場合には事前の段階で相談者にとっての不利益な事実をできるだけ洗い出したいと思いますし、それを上回る有利な事実や証拠があるかどうかを分析したいと思うはずです。したがって、相談者にとって不利益な事実をきちんと聞いてくる弁護士は全体像を把握しようとしているのであり、その上で相談者の希望が通るのか通らないのか、あるいは通すためには何が足りないかを分析しようとしていることになります。そのためにもいろいろ質問することは重要になってきます。逆に大した質問もせず、また、その後も特に質問をすることなく事件を進めようとする弁護士はよほどの天才でない限り、防具を持たないで闘おうとしているのと同じだと思います。

 また、弁護士の数が増えたことにより経済的に困窮する弁護士も出てきていると聞きます。そうすると、本来であれば相談者にとって不利益な内容にまで踏み込んで事情を聴取した上で事件処理したほうが望ましいにも関わらず、とりあえず事件を受任しようとするため相談者に対しては有利なことを言って踏み込んだ質問をしないということもあり得ます。それは決していい弁護士とはいえないでしょう。

 したがって、いい弁護士、わるい弁護士の見分け方はたくさんあるかとは思いますが、自分にとって都合の悪いことや聞かれたくないことについてもきちんと質問してくる弁護士がいい弁護士ではないかというのが一つの回答例かと思います。