弁護士法人 荒井・久保田総合法律事務所

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弁護士 小田 康夫
2017.05.11

消費者被害の実例~中級編~

前回のコラムに引き続き、消費者被害についての話です。前回は、当事者が二人、つまり、売主(事業者)と買主(消費者)との関係について書きました。ただ、代金決済業者の登場で少々事態は複雑になります。

売主=事業者=A(販売会社。信販会社との関係で「加盟店」と言ったりします。)

買主=消費者=B

代金決済代行業者=C(「クレジット会社」と言ったり、「信販会社」と言ったりもします。)

例えば、腕時計をカードを切って分割払いで買った場合を考えてみます。

この場合、クレジット会社(C)が店(販売会社A)に腕時計の代金を立替払いして、消費者(B)は立替払いしてくれたクレジット会社(C)に分割で支払っていくことになります。

これを契約ごとに整理すると、AB間で売買契約が、BC間では立替払契約が、CA間では加盟店契約が存在しており、3つの契約があることになります。

このとき、取引の基本的なルール(原則)からすれば、AB間の売買契約に、例えば時計が偽物だった等の何らかの問題があったとしても、立替払いしたクレジット会社から分割金の請求を受けたら、消費者Bは支払を拒絶することはできません。 AB間の売買契約とBC間の立替払契約は別物なので、クレジット会社Cは販売会社Aと消費者Bの売買契約には関係ないからです。

しかし、それでは、消費者保護に欠けるほか、そもそもクレジット会社は販売会社を通じて利益を上げているわけですから、販売会社の落ち度について、クレジット会社が全く責任を負わないというのは公平ではありません。 そこで、法律では、基本的な取引ルール(原則)に「修正」を加えて、消費者保護がはかられています。

消費者に何らの落ち度がないケース、例えば、①適切に管理していたクレジットカードが第三者に不正使用された場合や、商品自体をまだ受領していない場合、商品自体に重大な欠陥があった場合には、通常、約款等で、Cからの請求を拒絶できると規定されています。

また、消費者に多少の落ち度があるケースでも、法が予定する訪問販売などの一定の取引類型については、消費者保護を拡充しています。例えば、②訪問販売などで商品を購入し、AB間の取引をクーリングオフできる場合には、AC間の立替払契約自体もクーリングオフできる場合があります。他にも、③AB間の契約の際に不実告知や故意の事実不告知があったことにより、Bが誤認して契約をしたときは、AB間の契約とともに、BC間のクレジット契約を取り消すことができる場合があります。

そして、これも直感的にわかるように、④Aの落ち度が大きい場合には、基本的には、クレジット会社からの支払い請求を、消費者は拒絶できません(「修正」の例外)。

ただし、空売り(名義貸し)のローンに消費者が協力したようなケースでは、弁護団等の努力により消費者保護を勝ち取ったケースもあります(「修正」の例外の修正)。それについては次回触れます。

以上のように、取引の基本ルール(原則)、原則の「修正」、さらに、原則の「修正」の例外(さらに、原則の「修正」の例外、の修正・・・)というように、法律の仕組みが緻密にでき上がっています。ただ、このような緻密な仕組みとなっている現行法にも、まだまだ多くの課題が残っています。

例えば、②のように訪問販売のような取引類型は実際多くないため、消費者保護が十分ではないという指摘があります。また、通信販売のような類型にはBC間の立替払契約を直接クーリングオフできる規定が、現行法上、ありません(なお、このあたりは法改正が多く、法改正の動向を逐一確認する必要があります)。

また、③のようなケースは、一回きりのクレジット契約(取引の都度、契約書類に取引商品、立替金額、分割払い期間などを記載することが多い。)で立替払いをしたケースを想定しており、そうじゃないケースでは、なかなか消費者保護が難しいとされています。一般論として、売主(A)に対して主張できる反論を、クレジット会社(C)にも主張できる場面(「抗弁対抗」の場面)は、一回きりのクレジット契約で立替払いをしたケースや、2か月を超えた後の1回払い(例えば、冬のボーナス一括払い)のケースで、クレジット契約を締結する場合を想定しています。逆に、クレジットカードを利用した代金決済の際によく使われる「翌月一回払い」(マンスリークリア)の場合には、AB間の契約を取り消すことができても、Bは、Cからの請求を拒絶できないとされています(なお、これにも例外があるのですが、混乱するのでこの辺にしておきます)。

以前、クレジットカードの不正使用を受けたという相談者の代理人となり、信販会社と交渉した末、約款の解釈、法全体の趣旨などから代金の支払いを拒絶できた事案がありました。やはりインターネットなどの情報だけでは、上記のような法律の仕組みを理解することが難しい部分があり、約款や法律の仕組み(保護対象、落とし穴)、そして、その解釈が複雑な法分野では、専門家による適切な助言が、解決の糸口になる場合があります。一人で悩まず、まずはご相談ください。